本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.2.17

金融の戦国時代

NHKの大河ドラマである「軍師 官兵衛」を見ていると、当時の「戦国時代」における「覇権の移行」や、それに伴い、「どの勢力に付くのが最善なのか?」という、「諸大名の思惑」が、いろいろと見て取れるようである。また、この間の「時間的な推移」を考えると、実に興味深い展開が起きていたようだが、実際には、「1571年」に起きた「織田信長による比叡山の焼き討ち事件」から、本当の「戦国時代」が始まったようにも思われるのである。

そして、その後は、ご存じのとおりに、「豊臣秀吉」から「徳川家康」へと、「権力」が移行し、最後には、「1614年」の「大坂冬の陣」と、翌年の「夏の陣」により、「豊臣家」が滅ぶとともに、「徳川家」による「長期政権」が始まったことが見て取れるのである。つまり、「40年以上」もの長きにわたり、「戦国時代」が続いたことが理解できるのだが、この点を現代に当てはめると、実に興味深い「歴史的なアナロジー」の存在や、あるいは、現在が、世界的な「金融の戦国時代」の最終局面とも考えられるのである。

つまり、「比叡山の焼き討ち事件」から、ちょうど「400年後」の「1971年」に、「金融史上最大級の事件」とも言える「ニクソンショック」が起きたわけであり、その後は、「東西の冷戦」が終焉の時期を迎えるとともに、世界的な「覇権の奪い合い」が始まったということである。別の言葉では、「1971年」以降に起きた事は、世界的な「マネーの大膨張」であり、「大量の資金を保有した国が、軍事力を背景にして、経済大国となった」という状況でもあったのである。

しかも、この間には、「百姓から天下人へ」と言われた「豊臣秀吉」のように、「短期間で、世界的な資産家となった人々」も、世界的に、数多く生まれることとなったのだが、このことも、「金融戦国時代」の「象徴的な出来事」とも言えるようである。つまり、「マネーが大膨張する期間」においては、「国家」のみならず、「民間」においても、さまざまな「権力の移行」が起きるものと考えられるのである。

しかし、その結果として、「先進各国の国家債務」が大問題となり、現在では、「アメリカのデフォルト」が危惧されるだけではなく、「金融システム」や「通貨制度」が崩壊の時期を迎えようとしているのである。つまり、現在は、「大坂の陣」から、ちょうど「400年後」に相当し、間もなく、「金融の戦国時代」が終わりを告げるものと思われるが、喫緊の課題は、膨大な「借金爆弾」を、どのように処理するのかということである。