本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.2.26

ビットコイン市場の混乱

2月25日に、仮想通貨「ビットコイン」の売買などを行う、世界最大級の取引所である「マウントゴックス」のサイトがアクセス不能になった。そして、このことも「2月に起きた出来事」であり、今年の8月から9月頃に想定される「より大きな事件」の「象徴」とも考えられるようである。つまり、「現代の通貨」に関する「重大な事件」が発生するものと考えているのだが、基本的には、「ビットコイン」というのは、単なる「金融商品」にすぎず、本来の「通貨」とは、まったく違った存在とも言えるのである。

つまり、「通貨」が成立し、また、存在するためには、根本となる「本位(スタンダード)」が必要であり、実際には、「金本位制」や「銀本位制」などのように、「金」や「銀」などの実物資産を「本位」として、「国家」が「信用創造」をすることを意味しているのである。そのために、今回の「ビットコイン」というのは、「百貨店の商品券」、あるいは、「地域通貨」のようなものにすぎず、しかも、「ビットコインの価格が変動する」ということは、本当の意味での「通貨」ではないことの「証明の一つ」とも考えられるのである。

このように、今回の「ビットコイン事件」については、大した事件ではないものと考えているが、前述のとおりに、「現代の通貨問題」を考える上では、たいへん参考になる出来事とも言えるのである。つまり、今回の「ビットコイン」は、現在の「信用本位制」を象徴する「金融商品の一つ」であり、しかも、「インターネットを通じて、残高が膨張した」という点は、現在の「デリバティブ(金融派生商品)」と同じ構造だからである。

そのために、今年の8月から9月にかけて想定されることは、現時点で、ほとんど隠された状態になっている「デリバティブ」に関して、「大事件」が発生する可能性でもあるようだ。つまり、「佐村河内氏のゴーストライター事件」と同様に、「ほとんどの人が、デリバティブの実情を知らなかった」という状況でありながら、「20年以上も、金利低下などにより、デリバティブの影響を受けていた状況」でもあったのだが、今回は、この点に関して、「人々の目が開くような事件」が起きることが想定されるのである。

そして、この時には、現在の「通貨制度」や「金融システム」に関する理解が深まっていくものと考えているが、実際には、「現代の通貨」も、「ビットコイン」と同様に、「コンピューターネットワーク」の中で大膨張したものの、「信用」が無くなると、一挙に、「存在価値」が失われるということである。つまり、実際には、「絵に描いた餅」にすぎないということだが、現時点でも、ほとんどの人が、この点を理解していないようである。