本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.4.16

夜警国家と福祉国家

これから重要な点は、「国家とは、一体、どのようなものなのか?」について熟慮することだと考えている。具体的には、「近代国家が、どのように発生し、また、発展したのか?」ということであり、また、「中央銀行の役割とは、一体、どのようなものなのか?」ということである。別の言葉では、「国家」と「国民」との「関係性」を考えることでもあるが、現在では、「国家の力が強くなりすぎた結果として、国民の間に不満が高まっている状況」とも言えるのである。

しかも、現在では、「先進各国」が「国家財政問題」に悩まされるとともに、「異常な超低金利政策」を実行しているのだが、この点にも、大きな転換点が近付いているようにも思われるのである。そして、現在の「ウクライナ」のように、「国民の不満が爆発する」というような状況も想定されるようだが、基本的に、「近代国家」は、「中世封建国家や近世の絶対主義国家の崩壊後に成立した国家」と定義づけられているようである。

つまり、「1776年に起きたアメリカの独立」や「1789年のフランス革命」以降、「民主主義」を基本にして誕生したのが「近代国家」でもあるようだが、この推進力となったのが「産業革命」だったのである。別の言葉では、「実体経済の成長」により、「裕福な個人」が増えたわけだが、当時の人々が考える「理想的な国家像」としては、いわゆる「夜警国家」が想定されていたようである。

具体的には、「国家の役割は、外的からの防御、国内の治安維持など,必要最小限の公共事業にあるとする国家観」のことであり、実際に、「19世紀の大英帝国」は、このような状況下で、大きな発展を遂げたことが理解できるのである。しかし、その後に起きた変化としては、「福祉国家」という考え方が広まったことである。つまり、「20世紀」においては、「社会保障制度の整備を通じて、国民生活の安定を図ること」が、「政府の目的」とされたのである。

そして、「20世紀の半ば」のような「実体経済の急拡大期」においては、この「福祉国家論」が成功したようにも見えたのだが、現在では、反対に、「年金」や「健康保険」などの負担が、「国家の重い負担」となっているのである。別の言葉では、現在の「国家財政問題」が、より一層、深刻化した時には、「福祉国家」の体制が維持できなくなるものと思われるが、このことが、現在でも、「ゼロ金利政策」や「超低金利政策」が維持されている理由とも言えるようだ。