本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.4.24

学術を以て天下を殺す

世界的な金融混乱も、いよいよ、最終局面が見えてきたようだが、この時に、重要な役割を果たすのが、いわゆる「学者」ではないかと考えている。つまり、明治維新の時に、勝海舟が述べた「日本の四殺」のとおりの順番で、現在、「日本の財政破綻」が進行しているようだが、最後の段階である「学術を以て天下を殺す」というような状況が、間もなく、起きる可能性が出てきたからである。

具体的には、「GPIF(年金積立金管理運用独立法人)」という「年金を運用する政府系機関」の「資産配分見直し」に関して、「実践経験の乏しい学者を中心にして、国債の部分が削減されようとしている状況」のことである。別の言葉では、今まで、「国債の発行残高を増やしても、問題が無い」と考えていた人々が、今度は、「債券相場で、大きな影響力を持っているGPIF」の資産から、「国債の配分」を減らそうとしているのである。

そして、この時の「国債の買い手」としては、「日銀」が期待されているようだが、このような行為は、「市場の反乱」を引き起こす恐れが存在するだけでなく、まさに、「金融システムそのものを崩壊させるような行為」とも思えるのである。つまり、過去数十年にわたり、「年金」を中心にして「国債の買い付け」が行われ、その結果として、「日本の国家債務」が、歴史上、最大の規模にまで大膨張したのだが、今回は、「国債の買い付け」に関して、「ハシゴを外すような行為」を実行しようとしているのである。

しかも、この時には、「日銀しか、国債の買い手がいなくなるような事態」も想定されるのだが、このことは、典型的な「財政ファイナンス」とも言えるようであり、また、「日銀の資金手当て」としては、「紙幣の大増刷」しか残されていないような状況にもなっているのである。そのために、今後の「国債価格」と「金利」の変化には、今まで以上に、大きな注意を払う必要性があるようだが、実際に、これほどまでに大膨張した「国家債務」や、あるいは、「人類史上最低レベルに位置する日本の金利」については、今後、「予想をはるかに超えた反動」が起きることが想定されるのである。

そして、このことが、「日本発の国家破綻」のことであり、実際には、「国債の入札」が難しくなり、「金利が急騰する局面」を迎えた時に、本当の意味での「金融混乱」が発生する事態のことである。また、このような展開こそが、私が、今までに訴え続けてきた「本当の金融大混乱」であり、「インフレの正体」でもあるのだが、残念ながら、現時点でも、ほとんどの人が、無関心の状況とも言えるようである。