本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.5.7

韓国の旅客船沈没事故

今回の「韓国旅客船の沈没事故」については、歴史に残る大参事であり、「利益至上主義」に陥った人々が、「最後の段階で、どのような行為を行ったのか?」を、まざまざと見せつけるような事件だったようである。具体的には、「荷物の過積載」により「バランスを失った船体」が、「漂流」と「迷走」の後に沈没したのだが、ご存じのとおりに、「船長」を始めとした「乗組員」が逃げ出しながらも、ほとんどの乗客は、最後まで、船内に留まるように指示されていたのである。

そして、この事件を見た時に感じたことは、現在の「世界金融」に関する「縮図」ではないかということだったが、実際には、「金融商品の過積載」により、「世界経済が、バランスを失っている状況」のことである。具体的には、「世界のGDPが約5000兆円」でありながら、「世界の金融資産は約10京円」という状況のことであり、このことは、「利益至上主義に陥った現代人」が、「デリバティブ(金融派生商品)」を、大量に積み上げたことに原因が存在するのである。

この結果として、「2007年」と「2008年」に、「金融混乱」が始まったのだが、その後に起きたことは、いわゆる「量的緩和」であり、このことは、「傾いた船体を維持しながら、全力で航行した状況」とも考えられるようである。しかし、現在では、「イエレン議長が、金融政策の舵を、大きく転換し始めた」という状況でもあり、今後は、「誰が、国債を買うのか?」が、世界的な大問題になることが予想されるのである。つまり、間もなく、「世界的な国債価格の暴落(金利の急騰)」が始まることが想定されるのだが、このことは、「世界の金融が、コントロール不能な状態」になることを意味しているようである。

別の言葉では、「国債の買い支え」が継続できなくなった時に、「世界的な金利上昇」が始まり、その時から、本格的な「インフレ」が訪れるものと思われるのだが、このことが、今回の「沈没事故」における「漂流状態」、あるいは、「迷走状態」を表しているようである。そして、最後の段階では、「世界の金融システム」が危機的な状況を迎えることになるものと考えている。

このように、今年になって起きていることは、実に、いろいろな「天からの警告」でもあるようだが、これらの「メッセージ」を、どのように理解し、どのように行動するかで、我々の「資産」の運命が決定されるようだが、くれぐれも、「韓国旅客船事故」のように、「誤った指示」に従わないようにすべきであると考えている。