本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.6.27

残業代ゼロ法案

「アベノミクスの成長戦略」の一つとして、「残業代ゼロ法案」が重要視されているようだが、この点については、全くの「本末転倒の考え方」とも言えるようである。つまり、今回の法案の目的としては、「労働分配率の削減」が存在するように思われるのだが、実際には、「高止まりしている給料を削減すれば、企業収益が改善するのではないか?」と考えられた可能性のことである。別の言葉では、「短期的な収益の向上」を狙ったようにも思われるのだが、長期的には、「企業内の摩擦」が深まることにより、「収益の減少」が見込まれる状況も想定されるのである。

つまり、「どのような企業が成長し、また、高収益を上げているのか?」を考えると、当然のことながら、「顧客が望む商品を提供する会社」とも言えるようであり、また、「経営者」と「従業員」とが一体になり、「独創的な商品やアイデアを、できるだけ多くの人に販売する会社」とも考えられるのである。その結果として、「高収益」が生み出されるようだが、この時には、「利益の還元」という形で、「給料の増加」も考えられるのである。

このように、最初に必要なことは、「全従業員が、力を合わせて助け合う」ということであり、この時には、「企業収益の向上により、労働分配率が低下する」という状況が考えられるのである。しかし、一方で、「商品の内容」や「サービスの質」などを無視し、単に、「残業代を減少させる」というような経営が行われた時には、「売り上げの低下」や「収益の悪化」により、「給料の削減」のみならず、「人員の削減」までもが必要な状況になることも予想されるのである。

別の言葉では、「全ての従業員が、経営者的な感覚を持ち、自発的に会社のために行動する」というような状況になれば、「押し付けられた政策」は不要な長物になるものと考えている。そして、今回の法案で感じさせられたことは、「日本は、かつての社会主義的な国家と似通ってきたのではないか?」ということだが、実際には、「計画経済」という言葉のとおりに、「国家主導で商品の生産が行われれば、無駄が無くなる」というような「考え方」のことである。

つまり、「安倍首相」が、「リーダーシップ」の意味を取り違え、「強権的な政治を行う事が必要だ」と考えている可能性のことだが、本当に有能な「リーダー」は、反対に、「全ての人々が、能力をすべて発揮でき、かつ、調和のとれた社会」を造ることに力を注いでいるようにも思われる次第である。