本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.7.25

BISの警告

6月29日に行われた「BISの年次総会」の報告書を読むと、「BISの危機感」が、ひしひしと伝わってくるとともに、世界に対して、大きな「警告」を発しているようにも感じられた次第である。具体的には、「先進国の中央銀行は、一刻も早く、金融政策を正常化すべきである」とコメントし、現在の「超低金利政策」が、今後、さまざまな問題を引き起こすことを危惧しているのである。また、「世界各国の中央銀行が、前代未聞の規模で、資産を拡大している状況」についても、結果として、「大膨張した世界のマネーが、さまざまな市場に溢れ出している」とも述べているのである。

そして、「金融正常化への道のり」については、数多くの「チャレンジ(試練)」が待っているともコメントしているのだが、同時に、「各国の中央銀行は、その性質上、できるだけ時間稼ぎを行おうとする傾向がある」とも述べているのである。具体的には、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「中央銀行が、大量に国債を買い支える」という方法などのことだが、このことは、かつて、「リフレーション政策」と呼ばれ、その後、「大インフレ」を引き起こしたことが、歴史の教えるところである。

このように、現在では、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」と、「世界各国の中央銀行」との間で、「危機感の違い」が発生しているようだが、この点についても、「中央銀行の政策は、常に、後追いの状況になりがちである」ともコメントされているのである。つまり、「市場の反乱」である「国債価格の暴落」が起きた後に、「後追い的に、金利を上昇させる」ということが、過去の経験則でもあるのだが、今回も、間もなく、同様の事態が発生することが予想されるようである。

具体的には、今年の秋頃に、米国で「量的緩和の終了」が予定されているのだが、この時に、「ゼロ金利政策の継続が可能なのか?」ということである。別の言葉では、「国債の買い手」が、ほとんどいなくなる時に、「国債市場が、現在のような安定状態を保てるのか?」ということだが、実際には、「長期金利の上昇後に、慌てて、短期金利を急速に引き上げる」という状況が予想されるようである。

つまり、「中央銀行」ができることは、「短期金利の決定」であり、「長期金利」については、「世界のマネーが、どのように動くのか?」という事実によって決定されるということだが、今までの流れを見ると、これからの「金利上昇」については、「前代未聞の規模」で発生することも考えられるようである。