本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.7.27

原発と国債

戦後日本の高度経済成長を振り返ると、「原発」と「国債」とが、たいへん大きな役割を果たしていたようである。具体的には、「実体経済の成長」に関して、「原発のエネルギー」が重要な位置を占めていたということであり、また、「金融システムや通貨制度の安定」に関して、「国債の大量発行」が、やはり、大きな役割を果たしていたことも見て取れるのである。

しかし、現在では、ご存じのとおりに、「3・11の大震災」以降、「原発」が「完全停止の状態」にあり、その結果として、「日本の貿易赤字」は、巨大な金額にまで膨らんでいるのである。つまり、「日本の経済成長」に関して、「原動力の一部が失われた状態」とも言えるのだが、その結果として起きたことは、「国債の大量発行」であり、しかも、「日銀による国債の大量買い付け」だったのである。しかも、現在では、「日銀のバランスシート」が「約269兆円」にまで大膨張しており、この数字は、「日本のGDPに対して、50%を超える金額」となっているのだが、この点に関して、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」が、大きな危機感を抱く状況とも言えるのである。

このように、現在、考えなければいけない点は、「安全神話の実情」であり、かつては、多くの学者や専門家が、「原発は安全である」と断言してきた事実のことである。つまり、多くの国民が、その言葉を信用していたのだが、現在では、「原発の安全神話」を信用する人は、「皆無の状態」とも言えるのである。しかし、一方で、「国債」については、依然として、「安全神話」が存在するようであり、現時点でも、多くの学者や専門家が、「日本国債が暴落することは有り得ない」と考えているようである。

つまり、現在の日本を考えた場合には、「戦後の奇跡的な高度経済成長」、そして、その後の「失われた20年」という言葉に象徴されるように、実に「波乱に富んだ時代」を経験してきたのである。そして、間もなく、「戦後時代の清算」が、本格的に始まるものと考えているが、この「キッカケ」となるのは、やはり、「国債神話の崩壊」とも考えられるようである。

別の言葉では、現在、「アメリカの量的緩和終了」の時期が近付いているために、「日銀」だけが、「必死になって、大量の国債を買い続けている状況」が、「何時まで継続可能なのか?」ということだが、実際には、この点に気付いた「世界の投資家」が、今後、「日本国債の売り叩き」を始める可能性も存在するようである。