本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.8.6

アルゼンチンの債務不履行問題

今年の「7月」は「辛未(かのと み)」という暦であり、「1991年の暦」と「フラクタル(相似形)」の関係になっていた。そのために、「1991年の一年間の動きが、7月の一カ月間に、12分の1の規模で、凝縮して現れるのではないか?」と考えていたが、現時点では、「7月31日」に発生した「アルゼンチンの債務不履行問題」が、「1991年12月25日」の「ソ連崩壊」に相当する可能性が出てきたようである。つまり、この事件については、ほとんどの人が問題視していないにもかかわらず、一部の専門家は、「デリバティブ崩壊」のキッカケになる可能性を危惧しているのである。

具体的には、現在、「約8京円」も存在すると言われている「デリバティブ(金融派生商品)」に関して、今回の「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の損失」が「蟻の一穴」になる可能性のことである。別の言葉では、今まで、ほとんど隠されたような状態になっている「デリバティブ」に関して、「先送りができないような状況」が発生することも考えられるのだが、かりに、この予想が正しいとしたら、現在の「金融システム」や「通貨制度」が、「ソ連の崩壊時」のように、一挙に崩れることも想定されるのである。

より詳しく申し上げると、今までの「QE(量的緩和)」の目的が、「国債の買い支えにより、金融のメルトダウンを防ぐ」ということだったようだが、現在では、「10月にも、米国の量的緩和が終了する」とも報道されているのである。そして、その後は、「誰が、米国債を買うのか?」という疑問点とともに、「金融のメルトダウンは、どのような形で進展するのか?」という点を考慮する必要性が出てきたのである。

つまり、「国債価格の暴落」が始まると、今まで表面化しなかった「デリバティブの問題」にまで「火の粉」が降りかかることが想定されるのだが、このことが、私の想定する「本当の金融大混乱」のことである。そして、その時には、「現代の通貨」そのものが信用できない状況となり、「世の中が激変する事態」も想定されるのだが、残念ながら、現時点では、ほとんどの人が、この問題を危惧していないようにも思われるのである。

そして、「目先の価格変動に対して、一喜一憂している状況」が継続しているのだが、これから想定される「世界的な金利急騰」が起きた時には、世界中の人々が慌てだすような事態も考えられるようである。具体的には、「資産の価値」に関して、いろいろな疑問点が噴出するものと思われるが、実際に、現在では、「若者たちでも、自分の年金や預金などの価値に不安を抱き始めた状況」になってきたようである。