本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.8.26

政府と国民との我慢比べ

現在の日本では、「政府」と「国民」との間で、「我慢比べの相場」が起きているようだが、実際に、「政府」が行っていることは、「ゼロ金利政策」と「国債の買い支え」による「時間稼ぎ」と「問題の先送り」とも言えるようである。別の言葉では、「国債」という「国家の借金残高」を増やし続けることにより、かろうじて、「国家財政の破綻」を防いでいる状況のことだが、一方で、「国民の態度」としては、依然として、「預金神話」にしがみ付いている状況も見て取れるのである。

つまり、ほとんどの人が、「預金」や「国債」を保有していれば「自分の人生は安泰だ」と考えているようにも思われるのだが、現時点で起き始めていることは、「商品価格の上昇」などにより、「預金の価値が、実質上、目減りを始めている状況」とも言えるのである。あるいは、いろいろな「増税」により、「収入面での目減り」も発生しているのだが、この時の「国民の心理」としては、より一層、「お金に対する盲信」が加速してきたようにも感じられるのである。

このように、過去数年間の動きを見ると、「政府の借金」は、「雪ダルマ式」に増えているものの、「日銀による国債の買い支え」により、表面上は、「全く問題が起きていないような状況」とも言えるようである。つまり、「アベノミクスへの信頼感」により、「時間が経てば、世の中の状況が好転する」と考える人が、依然として、多く存在するようだが、実際には、「預金や国債を保有する人々にとっては、日に日に、生活が苦しくなるような状況」になっているようである。

そして、この時に、「円安」が加わると、より一層の、「商品価格の上昇」も想定されるのだが、このことは、「政府」と「国民」の両方が、「座して死を待つような状態」とも考えられるようである。つまり、「国民の預金」を当てにして、「国家の借金」が増え続けている状態が継続しているものの、「実体経済」においても、「日本の国際競争力」の減少により、「外貨を稼ぐ力」が減退しているのである。

このように、現在では、「日銀による国債の買い支え」も厳しい状況となり、また、「国民生活」も苦しくなっているようである。そして、この原因としては、現在の「異常な超低金利政策」が挙げられるのだが、このことが、「BIS」が「一刻も早い、金融政策の正常化」を望む理由とも言えるのだが、今後の注目点としては、「政府」と「国民」のどちらが、「我慢比べに耐え切れなくなるのか?」ということでもあるようだ。