本間宗究(本間裕)のコラム
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2014.9.16
日銀のマイナス金利
「9月9日」に実施された「日銀のマイナス金利」は、「ECBのマイナス金利」とは、全く意味合いが違っており、今後、世界の金融界に対して、大きな影響を及ぼすことになるものと考えている。つまり、「ECBのマイナス金利」は、「民間銀行から中央銀行への預金(準備金)に対して、マイナス金利を付加する」というものであり、「実質上は、ほとんど効果が無い状況」とも言えるのである。しかし、「日銀のマイナス金利」については、「日銀が、3か月後に損失が出る価格で、国債を買い付けた」というように、「民間企業では考えられないような行為」だったのである。
別の言葉では、「民間企業においては、株主から責任を問われかねないような取引」だったのだが、このことは、現在の「日銀の苦悩」を象徴している可能性もあるようだ。つまり、「当座預金の残高」が頭打ちになっている可能性があるために、「国債を買い付ける資金」が枯渇し始めているものと思われるが、今回は、「この事実を隠すために、衝撃的なマイナス金利での取引を実行したのではないか?」ということである。
しかし、常識で考えれば、簡単に理解できるように、「日銀」が、このような取引を継続して実行すると、「日銀の損失」が膨らみ、最後には、「債務超過」に陥る可能性まで存在するのである。そのために、今回のような「マイナス金利」は「継続不能な取引」であり、今後、「日銀の金融政策」に、大きな変化が起きるものと考えているが、具体的には、「国債の買い支え」を中止するか、あるいは、「紙幣の増刷」により、「国家の資金繰りを賄う」という方法のことである。
このように、現在では、「先進各国の金融政策」が、行き詰まりの状態となっており、間もなく、この事実が「世界的な国債価格」に反映され始めるものと考えている。そして、この点を、過去数百年間の「金融の歴史」に照らし合わせてみると、実に危機的な状況が浮かび上がってくるのだが、具体的には、「先進各国は、金利の上昇に耐え切れない体質になっている可能性」のことである。
つまり、「日銀のケース」からもお分かりのとおりに、「短期金利が1%にまで上昇する」という状況下では、「150兆円もの当座預金」に対して、「残高を大幅に減少させる」という方法か、あるいは、「1%以上の金利を付ける」という方法が考えられるのである。そして、この時には、「超金利の急騰(国債価格の暴落)」や「為替の変動」も想定されるのだが、同時に、「国民が大慌てする状況」も予想されるようである。