本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.10.6

官僚化の弊害

先日、「司馬遼太郎氏」の「街道をゆく(佐渡のみち)」を読んでいた時に、「江戸初期の佐渡」で、たいへん興味深い事件が起きていたことに気付かされた。具体的には、「小比叡(こびえ)騒動」というものであり、具体的には、「突如、佐渡奉行に抜擢された、清廉潔白な辻藤左ヱ門」という人が、「どのようにして、いじめに遭い、また、謀反人になってしまったのか?」という事実について書かれた「鼠叢書」が紹介されていたのである。

そして、この時に、「司馬氏」は、「組織の腐敗が、どのようにして起きるのか?」、また、「どのような方法で、トップの人間が追い出されたのか?」をコメントしているのだが、この点について、「男のいじめ」は、「日本人に特有の民族病」ともコメントしているのである。つまり、「既得権を持った人々が、どのようにして自己防衛を計るのか?」ということだが、実際には、「無視」や「情報疎外」、あるいは、「孤立化」などが行われていたようである。

つまり、現在の「日本人」と同様に、「意見の違うものを無視する」、「正確な情報を流さない」、そして、「徒党を組んで、味方の利益だけを考える」というような状況のことだが、このことは、現在、「政治家や官僚の給料を上げて、国民からは税金を徴収する」というような状況にも相当するようだ。別の言葉では、「組織の腐敗」が進行しながらも、「歯止めをかける人がいなかったような状況」のことだが、この点について、「司馬氏」は、「中国の官僚は、日本人以上の酷さだったのではないか?」ともコメントしているのである。

具体的には、「なぜ、西遊記で、孫悟空の物語が有名になったのか?」という点において、「官僚悪に立ち向かう個人の弱さ」を指摘しているのだが、このことは、前述の「男のいじめ」が、「日本特有の病気」ではなく、「世界的な問題」とも考えられるようである。そして、この病気の行き着いたのが、現在の「世界的な金融コントロール」だった可能性でもあるようだが、実際に、「これほどまでの規模で、世界の金融市場が価格操作された例」は「前代未聞の状況」であるだけではなく、「将来的にも、ほぼ不可能な状況」のようにも感じざるを得ないのである。

つまり、「ゼロ金利政策」や「超低金利状態にある世界の国債」については、「LIBORの不正操作」と同様に、きわめて異常な力が働いたものと考えているのだが、このことは、「西遊記」に出てくる、「霊感大王」という「巨悪」と、「観世音菩薩」という「正義」との「戦い」とも考えられるようである。