本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.10.5

天の計らい

投資の世界に入って、今年で38年目になるが、今までの推移を振り返ると、実に、ダイナミックな変化が起きていたことが理解できるようである。具体的には、「日本のバブル崩壊」や「ソ連の崩壊」などのことであり、また、「いつの間にか、西洋の時代から東洋の時代に変わりつつある状況」などのことである。そして、この時に思い知らされたのが、「人智の限界」と「天の計らい」でもあったのだが、具体的には、「既存の経済理論では、ほとんど、現状説明ができなくなっている」という事実のことであり、また、「現在の世界が、悠久の歴史の中で、大きな流れに沿って動いている可能性」のことである。

別の言葉では、私の想定よりも、はるかに大きな規模で、「マネーの大膨張」が起きた可能性のことだが、このことも、結局のところは、「文明法則史学」が教えるとおりに、「約800年」にわたって継続した「西洋の時代」が終焉し、今後の「800年間」が、「東洋の時代」になるための「必要条件」だったようにも感じられるのである。つまり、現在の「信用本位制」が崩壊した時に、「大きな金融混乱」が起き、結果として、既存の「常識」も崩壊するものと考えているのだが、この点を「人智」で考えると、「なぜ、このような状況が必要だったのか?」と考えざるを得なかったのである。

そのために、「過去の歴史」を検証しながら、「どのような時に、世の中の大転換が起きたのか?」を熟慮せざるを得なかったのだが、結論としては、「凝り固まった人々の常識」を変えるためには、大きな「バブル」の発生が必要だったようにも思われるのである。つまり、「明治維新」や「第二次世界大戦」の時と同様に、あるいは、それ以上の規模で、「大きな変化」が起きない限り、数百年にわたって築きあげられた「マネーに対する信仰心」が崩れない可能性のことである。

つまり、「西暦400年前後の西ローマ帝国」や「西暦1200前後の宋」と同様に、「人智では、予測ができないほどの異常な事態」を発生させることが、「天の計らい」だったようにも感じられるのである。別の言葉では、現在の「世界の金融情勢」は、これほどまでに異常な事態になっているということだが、間もなく、本当の「金融大混乱」が始まることにより、本格的な「文明の大転換」が起きることが予想されるようである。

具体的には、過去数年間の、世界的な「量的緩和(QE)」自体が、「天に唾するような行為」であり、「この点に気付いた人々が、今後、どのような行動を取るのか?」ということだが、結局は、過去と同様に、慌てて「換物運動」に走り出すものと考えている。