本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.10.16

デリバティブのルール変更

「10月7日」の「FT(ファイナンシャルタイムズ)」で、「デリバティブのルール変更」についての報道があった。そして、「ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)」が、「10月11日」に正式発表を行い、「11月初めにも、実質的な適用が行われる予定」となっているが、今回のルール変更については、大きな注意が必要だと考えている。つまり、今回の目的が、「約700兆ドル(約7.4京円)」もの残高となっている「デリバティブ(金融派生商品)」に関して、「第二のリーマンショックを防ぐこと」とも言われているのだが、実質上は、ほとんど意味を持たない可能性が存在するからである。

より詳しく申し上げると、「18の世界における主要な金融機関」が、「過去数か月にわたり、複雑な議論を繰り返してきた」とも報道されており、この時に、「一部の金融機関の破たんが、その他の金融機関に悪影響を及ぼさないように協議が重ねられた」ともコメントされているのである。そして、このことは、「すでに破綻状態に陥っている主要金融機関の存在」が推測されるとともに、今後の「金融大混乱」の予兆となるような出来事とも考えられるのである。

つまり、現在の「世界的な金融システム」については、当然のことながら、「金融の輪」が形成されており、「一つの主要金融機関の破綻」が、全体のシステムを崩壊させる懸念が存在するのである。そして、このことが、「2008年のリーマンショック」の時に危惧されたことだったのだが、実際には、「ゼロ金利政策」や「量的緩和(QE)」などにより、「問題の先送り」が実施されたのである。

別の言葉では、「デリバティブの問題」が、一種の「飛ばし」のような状態になっており、実際には、「存在そのものが、ほとんど、隠されていたような状況」だったのだが、今回は、この点に関して、限界点が訪れたようにも思われるのである。つまり、「約700兆ドル」の「7割」が「金利デリバティブ」であり、今までは、「世界的な超低金利政策」を実施することにより、「問題の発覚」が防がれてきたものと思われるのである。

つまり、「金融界の大量破壊兵器」とも呼ばれる「デリバティブ」については、「30年程前に誕生し、その後、前代未聞のスピードで急成長した」という経緯があるのだが、今回は、「2008年」とは違い、「問題の先送り」ができない状況とも言えるようである。そして、早ければ、「11月中にも、第二のリーマン事件が起きる可能性」も存在するようだが、このことが、私が想定している「本当の金融大混乱」のことである。