本間宗究(本間裕)のコラム

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2014.10.27

国債入札のマイナス金利

10月23日に起きた「3ヶ月物短期国債入札のマイナス金利」については、たいへん驚かされたが、一方で、「国債バブル」や「信用バブル」の存在を裏付けるような出来事だったものと考えている。つまり、「3ヶ月後に、投資資金が目減りする」という事実を理解しながら、「この国債を購入する」ということは、「満期までに、日銀が、より高い価格で、この国債を購入してくれるのではないか?」という期待感が存在するものと思われるのである。

別の言葉では、「上がるから買う、買うから上がる」というような、典型的な「バブル現象」だった可能性もあるようだが、このことは、「木の葉が沈んで、石が浮かぶ」という、「相場において、ときおり見られる事態」とも考えられるようである。つまり、「相場の転換期」においては、往々にして、きわめて異常な現象が発生することが多くなるのだが、今回も、同様の状況だったようにも思われるのである。

そして、このような時には、「極端なケース」を想定することにより、「現在の状況が、どれほど異常なのか?」を確認することが大切だと考えているが、実際には、「このような状況が継続した場合には、借金をすると、借金の元本が減少する」という事態のことである。そして、「多くの人が、借金を望む状態」も予想されるのだが、実際には、「目先のことだけを考え、長期的な展望を失った状態」とも考えられるようである。具体的には、「金利が上昇した場合に、どのような状況になるのか?」を考えていない状況のことである。

別の言葉では、「20年近くも継続したゼロ金利政策」を振り返ると、多くの人が、刹那的な考えを持ちがちになるということだが、「今まで続いてきたのだから、将来も、同様の状況が継続するだろう」という「安易な考え方」のことである。そして、この点については、「20世紀初頭のイギリス」でも、同様の状況が発生したようだが、実際には、「コンソル公債」の価格が、30年以上も上昇を続け、その後、「1923年」に起きた「ドイツのハイパーインフレ」の時に、ほとんど価値を失ってしまったのである。

また、この点について、「ケインズ」は、「異常な事態が30年間も継続すると、多くの人々は、このことが永遠に続くと錯覚してしまった」とも述べているのだが、今回の「世界的な超低金利状態」については、歴史上、未曽有の事態とも言えるのである。そのために、今後の展開が、たいへん危惧されるのだが、やはり、「バブルは、崩壊した時に初めて、その存在に気付く」という事態が、今回も、繰り返されるようである。