本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.1.27

禍福は相織りなす

還暦の歳を迎え、自分の人生を振り返ると、実に、さまざまな思いが去来するが、特に感じることが、「失敗こそが宝物だった」ということである。具体的には、私の人生で、最も衝撃的な事件が、「1987年のブラックマンデー」だったが、この時には、「世界が終わりを告げるのではないか?」というほどの緊張感が、世界的に広がったのである。そのために、私自身も、「なぜ、このようなことが起きたのか?」を考えざるを得ず、結果として、「約2000年間の人類の歴史」を、改めて調べ直したのだが、そのお蔭で、10年後の「1997年の信用大収縮」を、ぴったりと予測することができたのである。

また、「1990年のバブル崩壊」の時には、人生において、最も大きな投資の失敗を経験したが、このお蔭で、「10年後のITバブル崩壊」を、ぴったり予測できたのだった。つまり、私の場合には、「人生の節目」を迎えた時に、真剣に悩んだことが、その10年後に成果となって表れてきたのだが、同時に起きた事は、「2007年の金融混乱」を予測できたことに慢心して、「アメリカの量的緩和(QE)」を軽視したことだった。

具体的には、学者出身の「バーナンキFRB議長」は、前任者の「グリーンスパン氏」とは違い、市場をコントロールできないものと考えていた。しかし、実際には、私の想定が外れ、予想以上の「金融コントロール」が、世界的に実施されたのである。しかも、現在においても、依然として、「ゼロ金利政策」や「歴史的な超低金利状態」が継続しており、この点については、私自身の、もう一つの「人生の節目」だったようである。

このように、どの人の人生にも、「禍福相織りなす」という言葉のとおりに、「失敗」や「成功」が繰り返されるが、最も重要な点は、「失敗を失敗と認め、なぜ間違えたのかを、真剣に考えること」であり、また、「成功した後は、決して、慢心しない事」でもあるようだ。そして、この態度を貫いた時に、満足する人生が得られるものと考えているが、私自身の場合には、もう一つの「失敗」が存在するのも事実である。

つまり、「60年サイクルの歪み」のことであり、実際には、「1945年から60年後の2005年に、なぜ、金融戦争が終結しなかったのか?」という疑問点のことである。そのために、過去10年間、この点を考え続けてきたが、今回も、「節目から10年後」が、結論が出る時期とも言えるようである。具体的には、「2015年」が、その年に当たるが、現在では、ほぼ答えが出てきたようにも感じており、後は、「世界的な国債価格暴落」を待つだけの状態とも言えるようである。