本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.1.27

イスラーム国を考える

「日本人捕虜の殺害事件」をキッカケにして、日本では、「イスラーム国」への関心が高まっているが、ウィキペディアによると、イスラーム国が独立宣言をしたのは、2014年6月とのことである。ただし、日本をはじめとして、多くの国々が、独立を承認しておらず、また、ご存じのとおりの「残忍な行為」により、本当の意味での「国家」と呼べるかどうかには、大きな疑問が存在するようだ。

しかし、一方では、「イラクの旧フセイン体制で政権を担っていた政治家・軍人・公務員などが、アメリカの攻撃によって政権を失い、イラクの中央での居場所を失った結果、イスラーム国の中核を担っている」とも言われており、この観点からは、国家としての役割を果たす力を持っている可能性もあるようだ。つまり、「イスラーム国」の成立には、「アメリカ」などの攻撃も深く関わっており、また、古くは、「第一次世界大戦」の後に、「オスマントルコ」が崩壊したことも、遠因となっているものと考えている。

つまり、「2001年の9・11事件」の時に言われたことが「80年の恨み」というものだった。具体的には、「欧米列強の帝国主義により、600年以上も続いたオスマントルコ帝国が崩壊した」という事実に対して、「アルカイダのビン・ラディンが、報復攻撃を仕掛けた」とも言われたのだが、その結果として、起きた事が、「アフガン」や「イラク」への攻撃だったのである。

別の言葉では、積年の「恨みの連鎖」が、今でも続いているようだが、実際には、「イラク」や「シリア」、あるいは、「アフガン」などが内戦状態となっており、この間隙をついて誕生したのが、いわゆる「イスラーム国」だったのである。そして、ご存じのとおりに、あまりにも残虐な行為を行っているが、彼らの主張としては、「欧米諸国に対する聖戦」であり、今回は、その矛先が、日本にまで向かってきたようである。

このように、現在の世界情勢は、たいへん緊迫化してきたが、この時に忘れてはいけないことが、「イスラーム国」だけに関心が集まるのではなく、反対に、「先進諸国の内部で、どのような事が起きているのか?」を考えることでもあるようだ。つまり、「800年ごとの文明交代期」に起きることは、「蛮族」や「新興勢力」の出現であり、この時に、「巨大帝国の内部崩壊」が起きることも、歴史が教えるところである。そして、本格的な混乱状態が始まった時に、一挙に、世の中が大転換することも予想されるのだが、実際に、世界の国債市場は、たいへん不気味な状況となってきたようである。