本間宗究(本間裕)のコラム
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2015.2.7
21世紀の資本
最近、「ピケティ氏」による「21世紀の資本」という本が話題になっている。そして、「格差の拡大は、資本主義の宿命である」というような意見が信じられ、「格差の縮小が、現在の課題である」と考える人も増えているようである。しかし、このことは、あまりにも短絡的、かつ、一面的な見方であり、実際には、100年ほど前の「共産主義」や「社会主義」のような考え方とも言えるようである。
つまり、現在、必要なことは、「なぜ、格差が拡大したのか?」を、歴史的に考察することであり、また、「過去200年間に、どれほど、マネーの大膨張が起きたのか?」を理解することである。別の言葉では、ピケティ氏の考える「格差」は、「収入」や「財産」のことでもあるようだが、実際には、「信用創造の仕組み」や「お金の性質」を理解する必要性が存在するのである。
具体的には、「現在の金融システム自体が、巨大な『ネズミ講』ではないか?」というような意見が、最近、海外で頻繁に聞かれるが、実際に起きた事は、「市場による信用創造」により、さまざまな「金融商品」が生み出されたという事実である。そして、この時に、「持てる者」と「持たざる者」との格差が広がったのだが、今後、考えなければいけない点は、これらの金融資産は、「絵に描いた餅」にすぎず、人々の信用が無くなれば、一挙に、価値を失ってしまうということである。
別の言葉では、ピケティ氏の考える「世襲制資本主義」などということは、単なる机上の空論にすぎず、実際には、「職業の世襲制」と「資産の相続」とが混同されているようである。つまり、1800年頃から始まった、いわゆる「資本主義の時代」においては、さまざまな職業が、新たに生み出され、より多額の収入を得られる機会が増えたのだが、この結果として起きた事が、「世襲制の崩壊」だったのである。
しかし、現在では、魅力のある職業が、徐々に減少しており、実際には、「親の後を継ぐ」という「世襲制」が復活している。つまり、「経済成長」と「世襲制」との関係性が理解されておらず、また、「現代の資産」についても、ピケティ氏の場合には、大きな誤解が存在するようだが、一方で、世界中の人々が、「資本主義とは、いったい、何だったのか?」を考え始めたようにも感じられる。そして、今後は、「過去200年間」ではなく、「過去2000年間」の「人類の歴史」を考え始めるものと思われるが、その時には、現在と、全く逆の結論が出ることも想定されるようだ。