本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.2.16

中央銀行のレバレッジ

最近、海外では、「中央銀行のレバレッジ」を危惧する意見が増え始めたが、具体的には、「アメリカの中央銀行」である「FRB」に関して、「自己資本」が「約570億ドル(約6.8兆円)」に対して、「総資産」が「約4.4兆ドル(約528兆円)」にまで膨らんでいる点である。つまり、「約77倍ものレバレッジ」が掛けられている計算になるが、この理由としては、ご存じのとおりに、「量的緩和(QE)」の名の下に、「中央銀行の資産を大膨張させて、国債を買い付けた」という事実が挙げられる。

そして、このような「中央銀行の資産大膨張」については、「日本」や「ヨーロッパ」でも同様の状況だが、この時に思い出されるのが、「1998年」に発生した「LTCM事件」である。具体的には、ノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者が、自分たちの投資理論を試すために、ヘッジファンドを設立し、過剰なレバレッジを掛けたのだが、実際には、理論どおりに作用せず、倒産の憂き目にあった事件のことである。

つまり、「約100倍ものレバレッジ」を掛けて「ロシア国債」などへの投資を行ったのだが、実際には、「ロシア危機」などにより、大失敗に終わったのだった。そして、このことから得られる教訓は、「過度のレバレッジ」の恐ろしさであり、実際には、「数パーセントの値下がりにより、自己資本が消滅するほどのリスク」を内蔵しているのである。別の言葉では、「過剰な借金」と「無謀な投資」が重なると、「少しの価格変動で、投資資金が無くなってしまう」という事実のことだが、現在の中央銀行は、まさに、このような投資を実践しているのである。

具体的には、「国債価格」の下落により、「中央銀行」のみならず、「金融システム」までをも危うくするほどの投資が行われているのだが、この時に気にかかる点は、「暦のフラクタル(相似形)」である。具体的には、「2015年2月」が「戊寅(つちのえ とら)」であり、「1998年」と同じ暦になるのだが、今回は、「ギリシャ危機」が、「LTCM事件」に匹敵するような問題だったようである。

別の言葉では、大勢に影響するほどの大事件にならず、その後、「ITバブルの発生と崩壊」へと繋がっていった展開のことだが、「2000年」に相当するのが「4月」であり、この観点からは、本格的な混乱は、「4月」にまで持ち越された可能性もあるようだ。つまり、その時に、「世界各国の中央銀行」が、どれほど無謀な金融政策を実施していたのかが、世界的に理解される可能性のことである。