本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.3.17

スパイダーゴールドの金(ゴールド)

3月6日に、世界で話題になったこととして、「HSBCが、ロンドンに存在する、7つの金保管庫をすべて閉鎖するのではないか?」ということがあった。具体的には、「顧客に手紙を出し、2か月後に、全ての金保管庫を閉じる」というものだが、この時に、問題視されたのが、「スパイダーゴールド」という「金のETF」だった。つまり、現在では、「約753トンもの金(ゴールド)」が、ロンドンに存在する「HSBCの金庫」に保管されているはずなのだが、この時に、「金の保管庫を閉めることは可能なのだろうか?」ということである。

そのために、この点については、真偽を確かめる必要性が存在するが、一方で、以前から言われていた「スパイダーゴールドは、実質上、金を保有していないのではないか?」という点について、今回の「噂」は、新たなヒントを与えてくれているようである。つまり、かりに、「金庫」が閉じられるとすると、その時には、「スパイダーゴールドは、金を保有していない」ということが証明されるからである。

つまり、世界最大の「金のETF」である「スパイダーゴールド」に関して、信用が失墜するだけではなく、世界の金融システムに関して、重大な事件になることも予想されるのである。別の言葉では、私が想定する「国債」と「金」との「金融大戦争」において、「国債を守る陣営」が、完全に敗北を認めざるを得ない状況のことだが、問題は、「この時に、どのような事が起きるのか?」ということである。

具体的には、世界的な「国債価格の暴落」であり、また、「中央銀行による紙幣の大増刷」が予想されるのだが、実際には、このことが、本当の「インフレ」であり、「通貨価値の下落」を意味している。つまり、「政府」や「通貨」に対する信頼感により、「物価の安定」が守られているのだが、現在では、この点が忘れ去られており、単に、「実物商品の価格」だけを見て、「インフレ」や「デフレ」が議論されているのである。

その結果として、現在では、未曽有の規模で「金融商品」や「通貨(お金)」が、世界に存在するものの、同時に、世界的な「金融コントロール」により、いろいろな商品価格などが操作されているとも言われているのである。つまり、一種の「価格統制」のような状況が、世界の金融界で起きている可能性のことであり、この点については、間もなく、事実関係が明らかになるようだが、実際には、このことが、私の想定する「金融敗戦」であり、また、「金融大地震とインフレの大津波」のことである。