本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.3.17

右傾化する自民党

驚いたことに、3月16日の国会で、自民党のある議員が、「八紘一宇」という言葉を持ち出したそうである。そして、「安倍首相は、世界中に、この理念を提唱すべきである」と発言したそうだが、この言葉は、「世界は一つの家である」という考えのことであり、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観である」ともコメントされているのである。しかし、少しだけ、歴史を学んだ人なら、あるいは、「大東亜戦争」を経験した人なら、この言葉に対して、大きな拒否反応を示すものと思われるが、現在では、多くの人が、戦後の平和に慣れきってしまったようである。

つまり、第二次世界大戦、あるいは、それ以前の戦争において、日本軍が他国を侵略する時に用いられたのが、この「八紘一宇」という言葉であり、このことは、「どのような立派な理念であろうとも、間違って使われた場合に、どれほど悲惨な事態が発生するのか」ということを、如実に物語っているのである。具体的には、「軍部の暴走」により、当時の日本人は、明らかに、誤った戦争を実行したものと考えているが、この時の「大義名分」となったのが、「世界は一つの家であり、日本人は、アジアの人々に、この考えを教えるべきである」という考え方だったのである。

その結果として、数千万人の「命」が、世界的に失われたようだが、前述のとおりに、現在では、同じ言葉が、再び、使われ始めようとしているのである。つまり、わずか数十年前に起きた悲劇が忘れ去られ、再度、日本の軍国主義が、復活する可能性が高まっているようだが、特に、このことを推進しているのが、「安倍首相の積極的平和主義」のようにも思われるのである。

具体的には、「自衛隊の海外派遣」のことであり、この時に理由として挙げられているのが、「ホルムズ海峡の封鎖」であり、実際には、「日本に、石油が入らなくなった時に、どのような被害が起きるのか?」ということである。つまり、「大東亜戦争」のキッカケとなった事件の一つが、「アメリカによる石油の輸出停止」であり、結果として、「日本軍は、石油を求めて、アジア諸国に侵略した」という状況だったのである。

このように、現在、自民党は、ますます右傾化し、積極的に、海外に対して、いろいろな理念を発信しようとしているようだが、このような状況が加速すると、日本から逃げ出そうとする人も増え始めるようである。つまり、戦争の悲劇を避けるために、海外移住する人々のことであり、当時は、「非国民」と考えられた人々のことである。