本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.3.27

ニュートンの忘れ物

先日、「経済物理とその周辺」という会合で、私の意見を発表する機会があったが、この時の題名は、「ニュートンの忘れ物」であり、副題として、「未来予測と時間のサイクル」というものだった。そして、私が主張したことは、「自然科学」と「社会科学」との違いであり、実際には、「社会科学は、自然科学に比べて、数百年程度の遅れが存在する」ということだった。

具体的には、「コペルニクス」が「地動説」を再発見し、その後、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「自然科学は、ニュートンの法則が発見されて以降、劇的な発展をした」という状況でもあった。しかし、一方で、「社会科学」を代表する「経済学」については、「アダムスミスの国富論」から始まったものの、その後、「マルクスの資本論」、そして、「ケインズの一般理論」へと続きながら、過去数十年間は、ほとんど停滞状態に陥っているのである。

そして、この理由としては、「マルクス」や「ケインズ」が、最も興味を持っていた「貨幣論」が、ほとんど忘れ去られていることと、もう一つの重要な点として、「時間のサイクル」が、全く理解されていない点が挙げられるものと考えている。つまり、「コペルニクスの地動説」や「ケプラーの法則」により発見されたことは、「天体のサイクル論」であり、実際には、「時間と空間の法則」だったのである。

しかし、「自然科学」により解明されたことは、「空間」、あるいは、「物質」などの「目に見えるもの」の研究であり、この時に、「目に見えないもの」である「時間」や「人々の心」などは、ほとんど無視されてしまった。その結果として、現在では、「科学技術」が発展したものの、人々の「心の闇」が深くなっているものと思われるが、この理由としては、「将来に対する不安感」が存在するようにも感じられるのである。

つまり、「これから、どのような事が起きるのか?」に対して、現代人は、大きな恐怖心を抱いているようだが、この時に役立つのが、「時間のサイクル論」だと考えている。具体的には、「過去2000年間に、人類は、どのような事を考え、どのような時代を形成したのか?」を検証することだが、この時に役立つのが、「暦の理論」でもあるようだ。別の言葉では、「コペルニクス」や「ケプラー」などが興味を持っていた「天文学」のことであり、現在では、「占星術」と言われ、ほとんど、無視されているが、今後は、この点が見直されることにより、人々の「心の闇」に光明が当たるものと考えている。