本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.4.14

輪廻転生(りんねてんしょう)

19世紀の西洋では、「科学と宗教の対決」が起き、「科学の完全勝利」に終わった。そして、その後は、「科学万能の時代」となったが、この結果として起きた事は、人々の「意識」と「行動」の変化でもあった。つまり、「目に見えるもの」だけに関心が行き、「目に見えないもの」に対しては、「非科学的」というレッテルが張られるようになったのである。別の言葉では、「科学的に証明できないものは、真理ではない」という考えが主流となったために、人々が伝統的に信じていたものは、ほとんど、忘れ去られてしまったのである。

そして、その一つに、「輪廻転生」という考え方があるが、このことは、「人間は生まれ変わる」というものであり、また、「魂の記憶」だけが、「来世」に持って行けるというものである。つまり、「あの世に、お金や地位は持っていけない」という、古来、日本人が理解していた考え方のことだが、現在では、この点が、ほとんど忘れ去られたようである。その結果として、「現在の自分」だけが、最も大切なものであり、「自分の利益の為なら、どのような事でもする人間が、数多く存在する」ようにも思われるのである。

また、このことは、世界的な傾向のようにも思われるが、その結果が、現在の「世界的なマネーの大膨張」であり、具体的には、「約8京円ものデリバティブ(金融派生商品)」や「世界的な量的緩和」と言われる金融政策のことである。つまり、「政府の信用」を基にして、大量の「フィアットマネー」が生み出されたのだが、実際のところは、「絵に描いた餅」や「裸の王様」のような状況であり、「人々の信用」が失われると、一挙に、存在価値を失ってしまうことも想定されるのである。

つまり、現代人が、最も大切にしている「現代のお金」に関して、間もなく、歴史的な大事件が起きるものと考えているが、この時に想定されることは、「人々の意識と行動の大変化」でもあるようだ。具体的には、「戦後」、あるいは、「明治維新」の日本人が経験したように、「価値観の大転換」とも考えられるが、このような状況になって初めて、現代人は、「人生の意味」を考え直し、また、「歴史的な考察」を始めることになるようだ。

具体的には、前述の「輪廻転生」などを、改めて、考え直すものと思われるが、東洋学の基本としては、「生まれる前に、人生の90%が設計されている」という考えが存在するのも事実である。つまり、「あの世にいた時に、自分の使命を決めて、この世に生まれる」という考え方のことだが、この点が理解されると、多くの人々の人生観が変化し、また、多くの悩みや苦しみが減少するようにも思われる。