本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.5.25

金本位制復帰を目論む中国

5月20日のブルムバーグに、たいへん衝撃的な記事が出たが、それは、「中国が、金本位制復帰を目論んでいる」というものであり、また、かりに、そのような事態になれば、「金価格」は、「約50倍の6万4000ドル」にまで急騰する可能性があるというものだった。ただし、この点については、「金融システム」や「通貨制度の変遷」などを、深く理解する必要性があるために、現在の日本人には、ほとんど、意味不明の状況とも考えられるようである。

つまり、「過去100年間に、金融面で、どれほどの変化が起きたのか?」が理解できない限り、今回の記事が、どれほどの重大性を持っているのかが、分からない可能性も存在するのである。しかし、実際には、このような記事が出るほどまでに、世界の金融情勢は緊迫化しており、間もなく、多くの日本人も、この点についての対応が必要とされるようである。

別の言葉では、現在、海外で言われ始めたことが、「トータルメルトダウン」という「金融システムの完全崩壊」であり、この時に、「グレートリセット」という「全面的な仕切り直し」も考慮され始めているのである。具体的には、「日本の短期金利」が「1%」にまで上昇すると、「日銀の資金繰り」に問題が出るだけではなく、「国債価格」や「国債入札」に関して、さまざまな混乱が起きることも予想されるのである。

そして、その時には、「日本」だけの問題で収まらずに、「欧米の国々にまで、金融混乱が広がる状況」も想定されるのだが、このことが、前述の「トータルメルトダウン」が意味することである。そのために、以前から中国は、このことを見越して、大量の「金(ゴールド)」を買い付けてきたようだが、一説では、すでに、「1万6000トン前後」にまで、中国の保有量が増えているとも言われているのである。

つまり、人類が、今までに掘り出した「金」の「約十分の一」が、中国によって保有されている可能性もあるが、今回、「中国」は、この「金」を頼みにして、次の時代の「通貨制度」を模索しているものと思われる。具体的には、「日米欧の国々」が、本格的な金融大混乱に見舞われた後に、「金本位制」、あるいは、「商品バスケット本位制」の時代が到来することを予想しているようである。別の言葉では、「お金の本質」を熟知していると思われる「中国」や「ロシア」などは、現在の「信用本位制」が、間もなく、崩壊の時を迎え、その後に、新たな通貨制度が始まることを想定しているようである。