本間宗究(本間裕)のコラム
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2015.5.25
グレートリセット
最近、海外では、「グレートリセット」という言葉が使われ始めた。そして、このことは、直訳すると、「偉大な仕切り直し」とでも呼ぶべき状況のようだが、実際には、「トータルメルトダウン」という「全面的な金融システム崩壊」を予想する人々が、大きな危機意識を持ち始め、今後、「金融システム」に関して、歴史的な大変化が起きることを想定しているのである。
しかし、残念ながら、現在の日本人にとって、この点は、全くの「対岸の火事」の状況とも言えるようである。つまり、「株価の上昇」だけに目を奪われ、「なぜ、現在、株価が上昇しているのか?」を、ほとんど考えようともしていない状況であり、その結果として、今後の「金利上昇リスク」に関して、ほとんど、無防備の状態とも考えられるのである。別の言葉では、「アメリカの利上げ」が行われようとも、「日本には関係が無い」と考えているようだが、このような状況は、典型的な「バブル状態」とも思われるのである。
そして、いつものとおりに、「バブルの崩壊後に、大騒ぎをする人が続出する状況」が発生するものと思われるが、現時点で、最も重要なことは、「過去100年間に、どれほどの変化が、世界の金融界に起きたのか?」を考えることでもあるようだ。別の言葉では、「なぜ、現在の日本で、ゼロ金利状態が可能なのか?」、あるいは、「なぜ、日本の国家債務問題が、依然として、収まっているのか?」を考えることだが、今後は、この点が、日本人の最も大きな関心事になるものと考えている。
しかし、現在では、「時すでに遅し」という状況であり、実際には、すでに、「ギャロッピング・インフレ」がスタートしているようにも感じられるのである。具体的には、「世界のマネー」が回転を始めており、結果として、世界的な株高が始まったようだが、前述のとおりに、現在の日本人は、ほとんど、「株高の真因」を理解していないようにも思われるのである。
つまり、「ケインズ」の言葉のとおりに、「通貨の堕落過程では、100万人に一人も気づかないうちに、事態が進行する状況」となっているようだが、問題は、その後の展開である。具体的には、現在の「株高」が、より一層、加速し、次に、「貴金属」を始めとした、さまざまな商品価格に繋がる動きのことである。別の言葉では、「ギャロッピング・インフレ」から「ハイパーインフレ」へと移行する可能性のことだが、前述のとおりに、現在の日本では、誰も、この点を危惧していないようにも感じられるのである。