本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2015.7.27

金融システム崩壊の砂時計

現在の「金融システム」と「実体経済」との関係性を、グラフで作成すると、まさに、「砂時計」のような状態になっている。具体的には、膨れ上がった「マネー経済」が、「砂時計の半分」を占めており、一方で、「実体経済」の部分が、もう一つの半分を表している状況のことである。そして、現在では、「マネー経済」を代表する金融商品である「デリバティブ(金融派生商品)」が、「2007年の金融混乱」以降、実質上、形骸化している状態とも言え、この事実を隠蔽するために、いわゆる「量的緩和(QE)」が実施されたものと考えている。

具体的には、「世界各国の中央銀行が、バランスシートを大膨張させて、国債を、大量に買い付けた」という事実のことだが、このことは、本来、典型的な「リフレーション政策」と呼ばれていた。つまり、「国家の信用」を維持するために、「中央銀行」が、「無理矢理に、国債を買い支え、また、超低金利状態を維持した政策」のことだが、今回、驚かされたことは、「日米欧の先進国が、力を合わせると、国債のマイナス金利という異常な事態までもが発生した」という事実である。

しかし、この点については、「BISのカルアナ総裁」が断言しているように、「決して、新たな均衡点ではない」という状況でもあり、実際には、間もなく、大きな転換点が訪れるものと考えている。具体的には、「アメリカ」を中心にして、「出口戦略」という「金利上昇」、あるいは、「金融の正常化」が始まる事態のことだが、この時の問題点は、「大膨張した世界のマネーを、どのようにして処理するのか?」ということである。

つまり、「お金」は「残高(ストック)」であり、基本的には、「インフレでしか、実質の残高が減少しない」という点だが、現在では、この点を憂慮する人が、ほとんど、存在しなくなったようにも思われるのである。あるいは、「中央銀行による国債の買い支え」についても、当然のことながら、「限界点」が存在するが、現在では、多くの人が、「日銀は、打ち出の小槌を持っている」と錯覚しているようにも感じられるのである。

別の言葉では、「紙幣の増刷」を実施した時に、「全ての国家債務問題は、表面上、片が付く」という点が忘れ去られているようだが、現在、「金融システム崩壊の砂時計」は、まさに、この限界点にまで達しようとしている。つまり、これから、「大量の紙幣」が、世界的に増刷された時に、多くの資金が、実物資産に流れ込む状況が想定されるのだが、このキッカケとなるのが、「貴金属価格の暴騰」だと考えている。