本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.7.27

ノーを言い始めた日本人!?

今回の「東芝による粉飾決算騒動」には、たいへん驚かされたが、この事件を熟慮すると、いろいろなことが見えてくるようにも感じている。具体的には、「社長に対して、ノーと言えない役員たちの姿」であり、実際には、「自己保身」のために、「見ざる、言わざる、聞かざる」のような状態になった可能性である。つまり、「目先の利益」を計ったために、結局は、「長期の利益」である「企業の信頼」を失ったようだが、このような状況は、現在の日本で、数多く見られるようである。

具体的には、「安倍首相に対して、ノーと言えない国会議員」が、与党には、数多く存在するようだが、同時に、このような状況については、「日銀」でも発生しているようである。つまり、現在の「異次元の金融緩和」について問題視する発言が、ほとんど聞かれないのだが、実際には、「日銀のバランスシート」を大膨張させているだけとも言えるのである。別の言葉では、「目先の利益」を求めたことにより、「長期の痛み」が予想される状況とのことだが、この点については、今回、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の年次総会で、「カルアナ総裁」が喝破したことでもある。

そして、この事実からは、現在、「世界中の人々が、臭いものにふたをして、自分の生活だけを考えるような状態」になっている姿が推測されるが、実際には、「刹那主義」が窮まった状況とも言えるようである。つまり、「明日がどうなろうとも、知ったことではない」というような態度のことだが、このような「事なかれ主義」については、歴史を尋ねると、いろいろ例が見られるようである。特に、「江戸時代の末期」にも、多くの旗本たちが、このような状態に陥ったようだが、実際には、「黒船の来航」に際して、ほとんど、有効な手段が取れず、右往左往したような状況となり、その結果として起きたことが、「幕藩体制の崩壊」という、歴史に残る大事件だったのである。

しかし、一方で、現在の日本人は、「7月15日」に実行された「安保法案の強行採決」に対して、「ノー」を表明し始めており、この時に、若者や女性も、数多く、デモ行動に参加している。そして、この観点からは、ようやく、私が期待していた「日本人の覚醒」が始まった可能性も存在するようだが、この点については、今後の「2カ月間」で、どのような変化が起きるのかが、大きな注目点とも言えるようである。つまり、「一般大衆が、政治を動かし始める可能性」のことであり、「明治維新」の時のように、「多くの人々が、世直しを求めて、『ええじゃないか』と、踊り叫んだ状態」のことだが、はたして、今回は、どのような展開になるのだろうか。