本間宗究(本間裕)のコラム
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2015.10.5
イエレン議長のスピーチ
9月24日に行われた「イエレン議長のスピーチ」には、たいへん驚かされたが、この理由としては、「内容が、歴代のFRB議長とは、大きく違っていた」という点が挙げられるようだ。つまり、私自身としては、「イエレン議長の経歴」から、「金融面での知識も実践経験」も十分であり、また、「グリーンスパン氏」や「バーナンキ氏」などから、「過去の経緯を、よく引き継いでいる」ものと想定していたが、今回のスピーチを読むことにより、考えを新たにする必要性に迫られたのである。
具体的には、「イエレン議長は、1960年以降の金融情勢を、最も重要視しているのではないか?」ということであり、また、前任者たちとは違い、「金融システムや通貨制度の歴史に、あまり明るくないのではないか?」とも感じたのである。そして、「インフレの長期トレンド」という、きわめて単純な指数を、過度に信用しているようにも思われるとともに、「金融政策が改善されたことにより、今後、1970年代のようなインフレが起きることはない」という考えを持っているようにも感じたのである。
つまり、「金融政策の実施により、さまざまな経済指標はコントロールできる」というような「誤った考え」を持っているようにも感じたが、かりに、この点が正しいとすると、今後、「イエレン議長が、世界的な金融混乱を引き起こすキッカケになる可能性」も出て来たようである。別の言葉では、「学術を以て天下を殺す」という「勝海舟が、明治維新の時の述べた言葉」が、世界的に起きる可能性のことだが、この点については、年内にも、結論が出るようにも感じている。
具体的には、「アメリカの利上げ」のことだが、現在、「イエレン議長」は、「インフレの長期トレンドが、2%を大きく下回っている」という点に注目し、「金利を年内にも上げるべきである」という考えに凝り固まっているようである。つまり、「過去の経緯」を無視し、また、現在、「世界に、どれだけの金融資産が存在するのか?」などを考えずに、単純に、「利上げ」を実行しようとしているようにも思われるのである。
別の言葉では、「米国の利上げ」が、その後、世界の「金融システム」や「通貨制度」に、「どのような影響を与えるのか?」について、きわめて単純な考察しか行っていないようにも感じているが、前述のとおりに、「年内にも、この点に関する結論が出る状況」であり、この時に、最も大きな影響を受けるのが、「日銀」だと思われるが、実際には、「0.5%の利上げ」で、「日銀の資金繰りが行き詰る可能性」のことである。