本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.9.25

呻吟語に見る安倍首相の現状

中国の古典である「呻吟語」には、「6種類の宰相」が述べられており、この中で、「最も理想的な宰相」から、「最も避けるべき宰相」まで、ありありと描写されている。具体的には、「太陽」や「大地」のように、「人々に、多大な恩恵を与えながらも、決して、見返りを求めない存在」が最上級にランクされ、また、最下位には、「奸険、凶淫、煽虐(せんぎゃく)、君心を蠱惑(こわく)し、国家の命脈を断じ、四海の人望を失う宰相」がランクされているが、この観点から、現在の安倍首相を見ると、「5番目」に位置するようにも感じられるのである。

具体的には、「我欲私心が強くなり、公を無視して憚らない存在」のことだが、実際に、「憲法を無視し、また、国民の声を聴かずに、自分の思いを達成した」という事実は、まさに、この種類の宰相に相当するようにも感じている。しかも、現在では、現職の「与党議員」や「官僚」などが、「安倍首相の政策」を支持しているために、今後は、「最下位の宰相」にまで落ちる可能性も存在するようである。

つまり、今後、「権力の暴走」が、より一層、加速し、この時に、「誰も、その動きを止めることができない状況」が発生すると、「国家の命脈を断じ、四海の人望を失う可能性」が存在するようにも感じられるのである。具体的には、「表の軍事、裏の金融」という言葉のように、今後、本格的な「金融大混乱」が、日本を襲う可能性のことであり、この時には、「アベノミクスの正体」が明らかになるものと考えている。

具体的には、「異次元の金融緩和」と呼ばれる政策は、単に、古典的な「リフレーション政策」にすぎず、実際には、「日銀のバランスシート」を大膨張させて「国債の大量買い」を実施しただけにすぎないのである。そして、この時には、当然のことながら、「円安、株高」の現象が見られることになるが、現在では、誰も、この点を指摘しないのである。つまり、「初歩の経済学」を学んだものなら、誰でも、この点を危惧するものと思われるが、実際には、「ケインズ」の言葉のとおりに、「百万人に一人も気づかないうちに、通貨の堕落が進行している状態」となっているのである。

その結果として、今後は、「国債価格の暴落」とともに、本格的な「大インフレ」が、世界を襲うことになるようだが、問題は、「この時に、安倍首相が、どのような行動を取るのか?」ということだが、過去の歴史では、「スターリン」や「ヒットラー」などの「最悪の宰相」が出現したことが見て取れるのである。