本間宗究(本間裕)のコラム

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2015.12.7

マイナス金利の功罪

現在では、世界的な「マイナス金利」が、当たり前の状態となっているようだが、この点については、実に大きな「リスク」が内在しているものと考えている。つまり、「3ヶ月物のマイナス金利の国債を買い、満期まで保有する」ということは、「購入者が、3か月後に、確実に損をする状況」を表しており、一方で、「国債を発行した国家」は、その分だけ利益を得られるものと思われるからである。

別の言葉では、「マイナス金利の国債」を発行することは、「国家財政」にとって、「プラスの要因」とも言えるのだが、反対に、「国債の購入者」にとっては、大きな損失に繋がることも理解できるのである。そのために、「誰が、この国債を買っているのか?」が、最も重要なポイントとも言えるのだが、実際には、「日銀」や「ECB」などの「中央銀行」が、最後の買い手となっているのである。つまり、「中央銀行が、高値で国債を買い付けている状況」が、現在の「マイナス金利」を生み出した要因とも考えられるが、この時に、憂慮すべき点は、「中央銀行に、どれだけの損失が発生しているのか?」ということである。

より詳しく申し上げると、現在では、実質的に、「中央銀行の損失により、国家が利益を得ている状況」という「前代未聞の時代」となっているが、このような異常事態が存続可能な要件としては、やはり、世界的な「ゼロ金利政策」、あるいは、「超低金利政策」が指摘できるのである。別の言葉では、「量的緩和」という名の「国債の買い支え」が、現在の「歴史的に見ても、きわめて異常な金融政策」を可能にしているものと考えているが、問題は、「12月」にも実施されようとしている「アメリカの利上げ」とも言えるのである。

具体的には、「このままの超低金利状態が継続すると、過剰なリスクを抱えるとともに、金融システムの安定性が失われる恐れがある」という「危機感」を抱いた「イエレンFRB議長」が、「利上げ」を実施する可能性が高くなっているが、問題は、「この時に、どのような事が起こるのか?」ということである。つまり、「日本だけが、現在の超低金利状態を維持できるのか?」ということだが、かりに、「日本の利上げ」が実施されると、「日銀の資金繰り」に関して、重大な問題が発生することも予想されるのである。

そして、このことは、「当座預金への付利金利」のことだが、現在では、「約240兆円の当座預金」に対して、「0.1%の金利」を支払っており、今後、「付利金利の上昇」が起き、かりに、「0.5%」にまで上昇すると、「金利支払額」だけで、「約1.2兆円」もの金額にまで増えることも予想されるのである。