本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.1.25

原油価格急落の波紋

最近の「原油価格の急落」については、さまざまな要因が存在するものと考えているが、実際には、「シェールガスの存在」や「中東の混乱」であり、また、「金融的な要因」などのことである。そして、この時に、実に、いろいろな意見が出ているが、今回、驚かされたことは、「原油価格の急落により、株価が下げている」という指摘であり、この点については、全くの「的外れの意見」とも考えられるようである。つまり、戦後の世界経済を見た場合には、1950年前後の「中東大油田の発見」が、その後、世界経済の高度成長の促進剤となったからである。

具体的には、「石油化学産業」のみならず、「鉄鋼業」や「自動車産業」、そして、「電化製品業界」など、実に、幅広い分野に、好影響を与えたのだが、現在では、この事実が、全く忘れ去られているようである。つまり、「原油価格が急落すると、世界経済が悪化する」と理解されているようだが、このことは、典型的な「ポジション・トーク」とも考えられるようである。別の言葉では、「金融市場において、買い持ちや売り持ちのポジションを保有している著名な市場関係者が、自分に有利な方向に相場が動くように、市場心理を揺さぶる発言を、マスメディアなどを通して行うこと」とも言えるようである。

そして、「現在、なぜ、このような行為が行われているのか?」を考えると、結局は、「国債を守る陣営」が、依然として、「ありとあらゆる手段を使い、国債価格の暴落を防いでいる状況」が浮かび上がってくるようである。つまり、「金利の上昇は、金融システムや通貨制度の崩壊に繋がる」と恐れる人々が、必死になって、「世界の金融をコントロールしている可能性」のことだが、この点については、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の総裁である「カルアナ氏」が、以前から指摘してきたことでもあるようだ。

具体的には、「各国の中央銀行は、最後の最後まで、どのような手段も実行する」、しかし、「最後には、市場の反乱が起き、その時には、後追いで、市場の流れに従わざるを得なくなる」という展開のことである。つまり、「国債価格の暴落」が始まると、「世界各国の中央銀行が、一斉に、かつ、急速に、金利を上げる状況」のことだが、この時には、「原油価格」のみならず、「株価」や「商品価格」が急騰する事態も予想されるのである。

そして、このことが、私が以前から想定している「本当のインフレ」、すなわち、「通貨価値の下落」のことだが、この点については、「2月の暦」である「庚寅」から、始まる可能性が高くなっているようだ。