本間宗究(本間裕)のコラム
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2016.1.25
近江商人の「三方良し」
今回の「軽井沢のバス事故」については、いろいろなことを考えさせられたが、具体的には、「なぜ、未来ある若者が、命を失ったのか?」という「人間の運命や宿命」であり、また、「1泊3日で1万3000円」という「料金の安さ」でもあった。つまり、「この料金で、どのようにして、利益が出せるのか?」ということだが、実際には、いろいろな「歪み」が生じていたようにも感じられるのである。
具体的には、「バス料金の設定」や「バス運転手の給料」などのことだが、基本的には、「あまりにも安い料金には、気を付ける必要性がある」ということであり、また、この時に思い出されたのが、「近江商人の格言」でもあった。つまり、「売り手良し、買い手良し、世間良し」という「三方良し」のことだが、このことは、「売り手と買い手との間で、適正な価格が設定されると、商売の当事者だけが利益を得られるだけではなく、その利益が回りまわって、世間全体を潤す」という考え方のことである。
そして、「昔の日本人は、このような取引を行う事により、継続的な商売が可能だった」ものと思われるのだが、現在では、「買い手」だけが利益を得られる状況となっているようにも感じられるのである。また、この理由としては、「お金の力」が強くなりすぎた点が指摘できるようだが、実際には、「お金は神様である」、あるいは、「顧客は神様である」という認識が、世界的に広まった可能性のことである。
つまり、過去数十年間に発生した「マネーの大膨張」が意味することは、「お金の量」が増えただけではなく、「お金の価値」が、飛躍的に高まった状況とも言えるのである。 その結果として、現在では、さまざまな「理不尽な状態」が、世界的に発生しているものと考えているが、具体的には、世界的な「ゼロ金利」や「マイナス金利」という「歴史上からも、前代未聞の事態」のことである。
そして、今後は、「国債価格の暴落」とともに、「プログラム売買の巻き戻し」が発生する可能性が高まっているようだが、実際には、大幅な「円安、株高、そして、金利上昇」のことである。つまり、「世界的な金融情勢の適正化」が予想されるのだが、今回の問題は、「大膨張した世界のマネーを、どのようにして処理するのか?」という点であり、この点については、「過去の歴史」が教えるとおりに、「大インフレにより、実質的に無価値にする状況」しか考えられないのだが、残念ながら、現在の日本人には、いまだに、この点が理解されていないようである。