本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.3.7

どのようにして、「お金」が「現代の神様」となったのか?

現在、感じていることは、「歴史の証言者」の一人として、「どのようにして、お金が、現代の神様となったのか?」を、冷静、かつ、正確に説明する必要性でもあるが、この点については、実に「長い歴史」が存在するとともに、きわめて「複雑、かつ、多様な要因」が存在したようである。そのために、丁寧に「歴史」を分析しながら、詳細に「人々の意識変化」を考えることが大切だと考えているが、現時点では、「歴史のアナロジー(相似性)」を考えることが、有効な手段の一つのようにも感じている。

具体的には、「明治維新」以降、「どのようにして、天皇陛下が、神様に祭り上げられたのか?」ということだが、この点については、ご存じのとおりに、「第二次世界大戦」の終了とともに、「天皇陛下は、普通の人になられた」という状況でもあったのである。つまり、「明治維新」をキッカケにして、「天皇陛下の権力」が復権し、その後は、終戦まで、徐々に、権力が強くなっていったようにも思われるが、最後の段階では、「権力バブルの崩壊」とも言える状況となったようにも感じられるのである。

別の言葉では、「強大な権力」が発生するためには、数多くの「隷従者」が存在することが、必要不可欠の条件とも考えられるのだが、実際には、時間の経過とともに、「より多くの人々が、天皇陛下を神様である」と認識するようになったようにも思われるのである。そして、この点を、「現代の通貨」と比較参照してみると、たいへん興味深い共通性が存在するようにも思われるが、実際に、戦後の世界においては、「お金の力」が、徐々に強くなっていき、最後の段階では、「マイナス金利」までもが、世界的に発生したのである。

つまり、「お金の力」が「ピーク」を付けた状態であり、今後は、「お金が神様の時代」が終焉の時を迎えるものと考えているが、実際には、「裸の王様」の物語と同様に、「現代の通貨は、影も形も存在しない、単なる数字である」という認識が、世界的に、急速に広がることになるようだ。別の言葉では、「何らかの大事件」をキッカケにして、「実態」と「人々の認識」の「差」が、急速に埋まるものと考えているが、過去の歴史を振り返ると、「現在の異常なマネーの大膨張は、人類史上、初めての出来事だった」とも思われるのである。

その結果として、今後は、「お金」を頼りにするのではなく、「人々の信頼関係」が重要視される社会が形成され始めるものと考えているが、この時の問題点は、「どれほどのスピードで、人々の意識変革が終了するのか?」ということでもあるようだ。