本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.3.15

グローバリズムの正体

最近では、「グローバリズム」という言葉が聞かれなくなり、反対に、今回の「アメリカの大統領選挙」では、「TPPに反対する候補者」が多く出たり、あるいは、「米国の職を取り戻す」というような意見も聞かれたりする状況となっている。つまり、現在では、「反グローバリズム」、あるいは、「ローカリズム(地方主義)」の動きが活発化しているようだが、このことも、「時代の大転換期」を象徴する「特徴の一つ」とも考えられるようである。

つまり、現在では、「資本主義」そのものが、行き詰まりの状態となっており、実際に、さまざまな問題を引き起こしているものと思われるが、この時に考えなければいけないことは、「グローバリズムの正体」とも言えるようである。そして、現在の「私自身の結論」としては、「金融面での帝国主義的な動きだったのではないか?」と考えているが、「帝国主義」については、ご存じのとおりに、「19世紀の後半」から「20世紀の前半」にかけて、「西洋の列強が、他国を武力で侵略した」という状況を意味している。

しかし、第二次世界大戦以降は、かつての植民地が独立し、結果として、「帝国主義」が終焉したが、その後に起きたことが、「マネーの大膨張」であり、また、「金融論」や「コンピューターネットワーク」を使った「お金の奪い合い」だったようにも思われるのである。つまり、「グローバリズム」の名の下に、「世界中の国々が、マネーゲームに参加した状況」とも言えるようだが、実際には、「2007年から2008年」が、「マネーの大膨張のピークだった」ものと考えられるのである。

具体的には、「デリバティブ(金融派生商品)」の残高が、この前後にピークを付けたのだが、その後の「量的緩和(QE)」については、「国民の預金などを使った、国債の買い支え」とも考えらえるようである。別の言葉では、「金融のメルトダウン」を防ぐために、「国民の預金などが利用された可能性」であり、この結果として、「金融システムの崩壊」に関して、「BISのカルアナ総裁」が指摘する通りに、「時間稼ぎ」ができたようにも思われるのである。

このように、現在では、「マネーの奪い合い」が、「他国の資産を合法的に奪う方法」から、「国内の資産を、合法的に搾取する方法」へと、形を変えたようだが、結局は、「お金は神様である」という「価値観」が、世界全体に行き渡った結果として、「グローバリズム」が終焉の時を迎えたようである。そして、その象徴が、「お金を預けると損をする」という、今回の「マイナス金利」のようにも感じられるのである。