本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.3.7

山高ければ谷深し

今年、私自身としては、「金融界」に携わって「40年目の年」を迎えるが、これまでの推移を振り返ると、実に感慨深いものがあるとともに、「2016年」が、本当の「金融大混乱」の年になる可能性が高まっているようにも感じている。つまり、「山高ければ、谷深し」という「相場の格言」のとおりに、「過去40年間の内、約35年間が、金利低下の時代だった」という状況であり、実際には、「お金の価値」が高まり、「国債」や「デリバティブ」が、未曽有の規模で「バブル」を形成したようにも思われるのである。

別の言葉では、「マネーの大膨張が発生した時期だった」とも考えているが、今後は、「バブルの崩壊により、どれほどの大混乱が引き起こされるのか?」が、たいへん気に掛かるのである。つまり、現在では、「お金が神様の時代」となり、「お金さえあれば、何でもできる」と錯覚した「現代人」が、「今後、どのような行動を取るのか?」に注目しているが、一方で、「終わりは始まりである」という言葉のとおりに、「マネーの呪縛」が解けることにより、ようやく、「新たな時代」が幕を開けるようにも感じている。

つまり、「明治維新」や「第二次世界大戦」の時と同様に、「大混乱期」を経て、より良い時代が到来する可能性に期待しているが、やはり、その前に考えなければいけないことは、これからの「金融大混乱」とも言えるようである。具体的には、「日銀の資金繰り」が行き詰まり、その結果として、「無限大の発散経路」と言われる、「紙幣の大増刷」が始まる可能性のことである。そして、その時には、「現代の通貨」が、歴史的には、「ほぼ瞬間的に、価値を失う状況」も想定されるのである。

ただし、この時には、「お金の謎」が解けることにより、今後は、今回のような「異常なバブル」が発生しなくなるものと考えているが、「過去40年間の金融バブル」については、前述のとおりに、「実に凄まじい規模」であり、また、人々の「心の闇」を形成したようにも感じている。つまり、「お金」は、「欲望」を形にしたものであり、「マネーの大膨張」の過程では、根本の「信用」が失われたようにも思われるのである。

別の言葉では、現在ほど、「心の闇」が深い時代は、歴史上、存在しなかったようにも考えているが、今後は、「谷が深かった分だけ、山が高くなる状況」も想定されるのである。つまり、私自身としては、今までの「40年間」が、「お金を奪い合う時代」だったように感じられるのだが、今後は、「助け合いの時代」が始まることにより、たいへん暮らしやすい社会が形成され始める可能性も存在するのである。