本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.9.16

バブル相場の再来!?

現在、日本の「不動産バブル」が発生し始めたようだが、この点については、「マイナス金利」が大きな影響を及ぼしているものと考えている。つまり、「イールド・ハンティング(利回り追求)」という言葉のとおりに、「利回り」を得られる商品に、資金が向かい始めたものと思われるが、実際には、「30年前の日本」と同様に、行き場を失った資金が、最初に、「不動産市場」に向かった可能性が存在するのである。

しかも、今後は、「国債価格の暴落」とともに、「約300兆円」にまで膨らんだ「日銀の当座預金」が、一挙に、市中に出回り始め、結果として、さまざまな資産価格を押し上げるものと考えている。また、この「メカニズム」については、最初に、「日銀の資金繰り」が注目されるが、この時の注意点は、「金利が上昇しても、日銀の保有国債残高が変化しない状況」が想定されることである。つまり、「約400兆円もの国債保有残高」に関して、「日銀」が売却を始めると、当然のことながら、「国債価格の更なる大暴落」と「金利の急騰」が予想されるために、「国債の保有」は継続されるものと考えられるのである。

しかし、一方で、「国債の買い」の資金源である「当座預金の残高」に関しては、「上昇した金利分を支払うか、それとも、民間銀行に返却するのか?」という選択を迫られるものと思われるのである。つまり、「約300兆円もの残高」に、「1%の金利」を支払っただけで、「約3兆円もの金利負担」になることが予想され、結果として、「日銀」は、「紙幣の増刷」により、「当座預金の返還」を行うことになるようだが、この時に考えなければいけない点は、「還流した大量の資金が、さまざまな資産バブルを引き起こす可能性」とも言えるのである。

つまり、今後は、「不動産」のみならず、「株式」や「貴金属」などの「実物資産」において、「30年前以上のバブル相場」が引き起こされるものと思われるが、このような状況下で発生することは、「人々が、こぞって、実物資産を買いだす状況」とも言えるようである。別の言葉では、「資産価格の急騰」が「新たな資金需要」や「更なる価格上昇」を生み出す「バブルのスパイラル」が、日本全国で発生する可能性のことである。

しかし、今回の問題点は、「1980年代」とは反対に、「信用創造の乗数効果」ではなく、「信用崩壊の乗数効果」が働いた結果のバブルであり、実際には、「換物運動」という「通貨への信頼感が失われた結果として、人々が、慌てて、実物資産に殺到する動き」が、根本的な原因とも考えられるのである。