本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.10.15

最終段階を迎えた「世界の掃除」

かつて「ペンクラブの会長」をされ、また、「大江健三郎氏」をノーベル賞に推薦された「芹沢光治良先生」に、いわゆる「神シリーズ」と呼ばれる「8冊の著書」がある。そして、その中で、「1987年」から「世界の掃除」が始まり、最初に、「日本のバブル」を崩壊させ、次に、「ソ連の崩壊」が起きたと説明されているが、残念ながら、「芹沢先生」は、「1993年」に逝去されたために、その後の展開については、自分自身で検証せざるを得なかったが、現在では、「いよいよ、最終段階に近付いているのではないか?」とも感じている。

つまり、「1990年の日本バブル崩壊」により、「不良債権」が発生したが、その後の展開としては、「民間企業」から「民間金融機関」、そして、「国家や日銀」へ移行しているのである。しかも、この時、時間の経過とともに、「不良債権の規模」が大きくなり、現在では、紙幣の増刷でしか処理ができないほどの規模となっているのである。また、「1991年のソ連崩壊」については、ご存知のとおりに、「社会主義」に対する否定を象徴する事件であり、その後の展開としては、「中国」や「ロシア」などの国々が、実質的に、「資本主義国」となったことも理解できるのである。

この結果として、「2007年から2008年」にかけて、「デリバティブ(金融派生商品)」を中心にした「金融資産の大膨張」が、世界的にも、かつ、歴史的にも「ピーク」を付けたのだが、問題は、その後の「世界各国の対応」にあったようだ。つまり、問題を隠すために、中央銀行のバランスシートを大膨張させて、国債などの資産を、大量に買い付けた状況のことだが、この結果として発生したことは、世界的な「マイナス金利」であり、また、「国債価格の世界的なバブル」だったのである。

そして、現在では、「国債バブルの崩壊時期」が近くなっているようにも感じているが、このことを、「世界の掃除」の観点から考えてみると、結局は、「世界中の人々が、お金の呪縛に捕らわれた結果として、史上最大のバブルを作り、そして、崩壊する過程」でもあったようだ。別の言葉では、いまだに解けていないと言われる「お金の謎」を解明するために、これ程までの壮大な実験が、数十年、あるいは、数百年という期間にわたり、行われてきたようにも感じているが、やはり、これから想定される変化は、「1600年頃」に誕生した「時は金なり」という「市場経済」を代表する思想が終焉の時を迎え、その後は、「共同体」を代表する思想である「時は命なり」という認識を、世界中の人々が持ち始める状況とも言えるようである。