本間宗究(本間裕)のコラム

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2016.10.25

世界的な金利上昇

「2016年」は、後から振り返ると、「いろいろな点で、歴史的な大転換の年だった」と言われる可能性が高まっているようだが、特に、私が注目していることは、「1980年代初頭から続いた金利の低下が、大きな転換を迎えた可能性」である。つまり、私自身は、金融業界に携わり、今年で40年目を迎えたが、この間、「約35年間も、世界の金利が低下を続けた」という状況だったのである。

そして、この理由としては、世界的な「マネーの大膨張」が挙げられるが、実際には、「三種類の信用創造」が働いたことが理解できるようである。具体的には、「最初の信用創造」が「中央銀行による、ペーパーマネーでの信用創造」であり、実際には、「マネタリーベース」と呼ばれる部分である。また、「二番目の信用創造」として、「民間金融機関によるコンピューターマネーでの信用創造」が挙げられるが、実際には、「預金」などの「金融商品」を意味している。

また、「三番目の信用創造」として、「市場による、コンピューターマネーでの信用創造」が指摘できるが、この点が、「既存の経済理論」では、ほとんど説明不可能な「金融商品」とも言えるのである。具体的には、1980年代初頭に誕生した「デリバティブ(金融派生商品)」が、「2007年前後」に「約8京円」という天文学的な数字にまで大膨張したが、現在、この事実を、ほとんどの経済学者が、無視したような状況となっており、そのために、今回、「イエレン議長の問題提起」が行われたものと考えている。

ただし、「2008年のリーマンショック」以降、「デリバティブ」は、実質的に「飛ばしの状態」となっているようだが、実際には、このことが、「過去8年間」の「世界的な超低金利状態」が生み出された最も大きな原因とも想定されるのである。つまり、「先進各国の中央銀行」が、バランスシートを大膨張させ、「国債の大量買い付け」を行ったために、人類史上初めての「マイナス金利」が発生した状況のことである。

より具体的には、「国債」を中心にして、「債券の価格が、異常な高値にまで買い上げられた状況」のことだが、現在では、あまりにも無謀な金融政策が限界点に達し、その結果として、世界的な金利上昇が始まったようにも想定されるのである。そして、この時に考えなければいけないことは、「山高ければ谷深し」という相場の格言であり、実際には、「今後、どれほどまでの金利上昇が発生するのか?」ということであり、また、「本当の『お金』とは、いったい、何なのか?」ということでもあるようだ。