本間宗究(本間裕)のコラム
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2017.1.5
AI(人工知能)の可能性
現在、日本の将棋界では、「AI(人工知能)」が大問題となっているが、具体的には、「三浦九段が人工知能を使った疑いをかけられたものの、結果としては、全くの無実だった」という事件のことである。そして、このことは、「将棋界」のみならず、「人類全体」に関して、大きな意味を持っているものと感じているが、実際には、「AI(人工知能)は、どこまで発展するのか?」、そして、「この時に、人間の役割は、どのように変化するのか?」ということでもあるようだ。
また、この点については、やはり、過去の歴史をひも解いて考える必要性が存在するが、実際には、「人類は、常に、進化と創造の過程にある」という事実を認識しながら、「技術革新が、人々の生活に、どのような影響を与えてきたのか?」を考えることである。具体的には、今から150年ほど前の「日本」では、「飛脚」や「駕籠かき」などの職業が存在したものの、その後は、ご存知のとおりに、「電話」や「電車」などの発達により、職業の形態が大きく変化したことも理解できるのである。
このように、「時代とともに、色々な変化が起きる」ということが、当然の事実でもあるが、今回の「将棋」に関しては、「いろいろな棋戦に、AIの棋士を参加させることにより、将棋界全体の実力を向上させる」という方法が望ましいようにも感じている。つまり、将来的に、「将棋の仕組み」が解明できると、「将棋のゲーム自体が、大きな変質を遂げる可能性」を考慮する必要性があるようにも思われるのである。
別の言葉では、今後、「人工知能」に関して、急激な発展が予想されるのだが、この時には、「社会の在り方」までをも変化させる可能性が存在するものと考えている。そして、この時の注目点は、やはり、「強い頭」と「速い頭」との「違い」であり、「速い頭」というのは、「大学入試」や「資格試験」などのように、「答えが存在する問題」に関して、「どれほど短時間で、問題が解けるのか?」を競う能力のことである。
しかし、一方で、「強い頭」は、「投資」や「実業」などにおいて、「答えが存在しない問題」を、粘り強く考え続ける能力であり、この点については、「人工知能」では、対応が難しいものと考えている。つまり、「問題の存在」に気付いた時点で、「その問題は半分程度、解けている」とも考えているが、実社会においては、現在の「経済学」や「心の問題」のように、「何が問題なのかが、理解できない状況」が往々にして存在するために、「人間の強い頭脳」が求められているようにも思われるのである。