本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.1.13

資本主義から大順主義へ

現在では、世界中の人々が、「資本主義社会の終焉」について、「心の底で認識し始めた状況」のようにも思われるが、この時に必要なことは、「資本主義とは、一体、何だったのか?」、そして、「人類の歴史において、資本主義が、どれほどの期間継続したのか?」を正確に理解することだと考えている。また、「終わりは始まりである」という言葉のとおりに、「一つの時代が終焉すると、次の新たな時代が始まる」という「過去の歴史」を、深く認識する必要性があるようにも感じているが、現在の問題点は、「ただ闇雲に、資本主義社会の終焉を恐れる態度」でもあるようだ。

つまり、「村山節氏」が発見した「文明法則史学」によると、「人類の歴史は、800年毎に、東洋と西洋とで入れ替わる」とも考えられている。そして、「資本主義」については、「西暦1200年から西暦2000年」の「西洋の時代」において、「西暦1800年前後から現在までの、僅か200年前後の期間に誕生した社会制度」とも言えるのである。別の言葉では、「諸行無常」という言葉のとおりに、「世の中は、常に変化する」ということが、当然の常識でもあるが、人間の性(さが)としては、「今まで続いたものは、今後も継続する」と考えがちになってしまうのである。

そのために、私自身としても、「1999年」から、「マルクス経済学者の降旗節雄先生」が主宰されていた「ポスト資本主義研究会」で、長年、「資本主義の後に、どのような時代が訪れるのか?」を考え続けてきたが、現在では、ようやく、答えが見つかったようにも感じている。つまり、「市場経済」と「共同体(コミュニズム)」の関係が、降旗先生が、基本的に述べられていたことだが、この点に加えて、「老子」に書かれている「大順」という言葉により、ある程度、今後の展開が予想できるようにも思われるのである。

具体的には、「ケプラーからニュートンへ」という表現のとおりに、「自然科学」が進化した理由は、「大自然の仕組み」に関して、「素直に観察し、普遍的な真理を発見する」という点が指摘でき、このことが、前述の「大順」が意味することのようにも思われるのである。そして、今後は、「経済」を始めとした「社会科学」においても、「人類の歴史」を徹底的に研究し、また、現在の「AI(人工知能)」などを応用することにより、今後、飛躍的な発展を遂げるものと考えている。つまり、「人類の歴史は、絶えざる進化と創造の歴史である」という言葉のとおりに、今後は、素晴らしい時代の到来が予想されるのだが、やはり、問題は、「文明の移行期に予想される、さまざまな混乱期」であり、実際には、「民族の大移動」や「インフレ」のことである。