本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.2.6

アメリカの混迷と資本主義の行方

「トランプ大統領の暴走と迷走」は、就任後の現在でも継続しており、この点に関して、世界中の人々が、「これから、いったい、どうなるのか?」と危惧し始めた状況とも言えるようである。しかも、この時に注目すべき点は、「トランプ大統領自身が、アメリカの内部分裂を推進している可能性」でもあるが、ご存知のとおりに、「アメリカ」については、「合衆国」の名のとおりに、「多民族、多人種の集合国家」である。

そのために、より一層、今後の展開が気に掛かる状況となっているが、実際には、「アメリカの崩壊」が想定される段階に入ったようにも感じている。つまり、「1991年のソ連」と同様に「国家が分裂する可能性」のことだが、かつての「ソ連(ソビエト共産主義国連邦)」も、名前のとおりに、「多民族、多人種の集合国家」」だった。そして、「歴史上からは、ほぼ瞬間的に崩壊した」という状況だったが、実際には、「その前に、長い混迷期が存在した」ということも、間違いのない事実だと考えている。

具体的には、「東西の冷戦状態」が継続していた「1980年頃」から、「西側諸国」において、「経済の金融化」、すなわち、「マネーの大膨張」が始まったために、「東側諸国」においては、「実体経済の行き詰まり」が、はっきりとした形で表面化したものと思われるのである。その結果として、「1989年」に、「東西ドイツの壁」が崩壊し、その後、「1991年」に、「ソ連の崩壊」という歴史的な大事件が発生したのである。

そして、その後の展開としては、「中国」や「ロシア」などの国々までもが、実質的な「資本主義国家」へ変貌し、世界的な「マネーの大膨張」を加速させたようだが、問題は、やはり、「2008年のリーマンショック」だったものと考えている。つまり、この事件が、「100年に一度の金融混乱」と呼ばれたように、「金融の大地震」だったものと考えているが、実際には、この前後に、「デリバティブの大膨張」がストップするとともに、「金融のメルトダウン」が始まったものと想定されるからである。

具体的には、「量的緩和(QE)」の名のもとに、「通貨の堕落」が、急速に進行したものと考えているが、ご存知のとおりに、現在では、「日米欧の国々」で、「金利の上昇」が始まったことも理解できるのである。つまり、「行き過ぎた金融資本主義」が、いよいよ、終焉の時を迎えたものと考えているが、今後の注目点は、世界的な「国債価格の大暴落」であり、このキッカケとなるのが、「トランプ大統領の暴走と迷走」であり、また、世界的な「信用崩壊」ではないかと想定している。