本間宗究(本間裕)のコラム
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2017.2.6
FRBの資産圧縮
現在、「FRBの資産圧縮」の噂が出始めたが、実際には、「償還となった国債を乗り換えずに、保有国債残高を減らす方法」が想定されているようである。そして、「イエレンFRB議長」としては、「約4.5兆ドル(約500兆円)」の「資産総額」についても、同様に、大幅な削減を目論んでいるものと推測されるが、この点については、きわめて複雑な問題を含んでいるために、簡単には実現しないものと考えている。
つまり、今までの「量的緩和(QE)]により、「中央銀行が買い付けた国債」に関して、単純に、残高を減少させると、当然のことながら、「金利の上昇」、すなわち、「国債価格の下落」が予想されるからである。そのために、できるだけ緩やかな金利上昇を望んでいるようにも感じられるが、実際のところは、全く違った結果になるものと想定されるのである。
具体的には、「日銀」の例からも明らかなように、「中央銀行が、保有国債残高を減らす」というニュースが出ただけで、「国債価格の暴落」が予想されるからだが、この点に加えて、現在の「日銀」については、「若干の金利上昇で、債務超過の状態に陥る可能性」も存在するのである。つまり、「短期金利が1%にまで上昇すると、約330兆円もの当座預金残高に関して、大きな変動が発生する状況」も予想されるために、今後は、「日銀が、本当に、現在の当座預金残高を維持できるのか?」、また、「金利上昇時に、誰が国債を買うのか?」という疑問点を考慮する必要性が存在するものと考えている。
また、これらの点を総合的に勘案すると、今後、予想される事態は、やはり、「中央銀行が、紙幣を大増刷する展開」とも言えるようである。別の言葉では、過去の歴史が教えるとおりに、「国家の借金を、紙幣の増刷で棒引きにする方法」のことだが、この時の注目点は、「中央銀行のバランスシートが、今まで以上に大膨張する状況」とも想定されるのである。より具体的には、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」に関して、世界中の人が気付き始める状況のことだが、「過去のパターン」から言えることは、「国債価格の暴落」が始まると、「きわめて短期間の内に、このような状態が発生する」ということである。
そのために、今回も、同様の事態を想定しているが、現時点で注目すべき点としては、「アメリカの中央銀行であるFRBの資産内容」ではなく、足元の「日銀」に関する「資産内容の変化」と思われるが、やはり、この点についても、実際の変化が起きない限り、ほとんどの人が、実情に気付かない可能性も存在するようである。