本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.3.15

神の恩寵

「1999年の9月」から始まった、このコラムの連載も、お陰様で、今月、「800回目」を迎えることができたが、思い返すと、当初は、二つの目的が存在した。一つは、「2000年のITバブル崩壊」を予告することであり、もう一つは、当時、「約8000兆円」という規模にまで膨らんでいた「デリバティブ(金融派生商品)」に対して警告を発することだった。そして、その後の展開としては、予想通りに、「ITバブル」は崩壊したものの、一方で、「デリバティブ」については、「2007年から2008年」にかけて、「約8京円」という規模にまで大膨張したのである。

つまり、「人類史上最大の金融バブル」が発生したわけだが、このピークを象徴する事件が、「2007年のサブプライム問題」であり、また、「2008年のリーマンショック」だったものと考えている。そして、その後は、ご存知のとおりに、世界的な「量的緩和(QE)」という、「中央銀行のバランスシート拡大による、国債の買い支え」が実施され、「2016年の半ば」に、「マイナス金利がピークを付けた」という状況でもあった。

別の言葉では、当初の目的の半分は、すぐに達成されたものの、残りの半分については、「18年後の現在」においても、いまだに、解決されていない大問題として、世界中で燻り続けているのである。また、このことが、現在の金融情勢を分かりにくくしている原因の一つとも言えるようだが、今後は、世界的な国債価格の暴落とともに、全貌を表すものと考えている。

このように、過去18年間を振り返ると、実に複雑で、厄介な相場が展開したものと考えているが、一方では、それまでに研究してきた「マネー理論」や「サイクル論」に関して、実践的な検証ができるとともに、一定の成果が得られたとも感じている。つまり、「私自身が望んだことは、大部分が達成できたのではないか?」と考えているが、同時に感じることは、「相場」や「天地自然の理」の「奥深さ」である。

そのために、今後も、さらなる努力が求められているようだが、現時点では、「未知の問題」を追求するために、「日々の出来事」を検証し、その中から、「天や神の意志」を読み取る作業に没頭しているときが、私自身にとって、最も幸福な時間だったものと感じている。そして、このことが、西洋人の考える「神の恩寵」の一つとも言えるようだが、「日本人」にとっては、理解が難しい言葉であり、結局は、「お陰様」が、ぴったり当てはまるようにも感じている。