本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.3.27

複雑化した米国債務上限問題

「米国の債務上限問題」については、現在、きわめて複雑な状況となっているが、この時の注目点は、「2015年10月」に制定された「超党派予算法」とも言えるようだ。具体的には、この法律により、「2017年3月15日」まで「債務上限金額」が棚上げされるとともに、数々の「非常手段」が実施可能になったからだが、この時に使われた手法の一つが「スラグ証券(SLGS)」と言われるものだった。

つまり、今までは、「米国財務省が、州や地方政府向けに発行する債券」などにより、「国家の債務問題が先送りの状態」となっていたようだが、今回も、「7月28日」まで、同様の「非常手段」が取られる予定と発表されたのである。そして、このような状況について、「アメリカ」では「白紙小切手や限度額の存在しないクレジットカードを発行するような状態」ともコメントされているのである。

別の言葉では、「米国の債務上限」については、実質上、意味が無くなったような状態とも言えるようだが、問題は、やはり、「金利上昇時に、国債やスラグ証券が、被害を受ける可能性」である。つまり、米国の「三度目の利上げ」をキッカケとして、「国債価格が、世界的に暴落を始める可能性」が危惧されるのだが、現在では、この点を熟知している「先進各国」が、「ありとあらゆる手段を行使しながら、国債の買い支えを実行している状況」とも想定されるのである。

しかし、現在では、この点に関しても、限界点に達した段階のようにも感じられるが、今後、私の想定どおりに、「国債価格の暴落」が始まると、世の中は、全く新たな展開を見せるものと考えている。具体的には、典型的な「ギャロッピング・インフレ」が進展することにより、「景気の好転」や「株高」が発生する状況のことだが、現在では、その初期段階のようにも思われるのである。

つまり、すでに始まった「世界的な株高」は、決して、「トランプ効果」によるものではなく、「世界の資金」が動き出した結果だと考えているが、今後は、この動きが、より一層、加速するとともに、制御不能な状態になることも想定されるのである。別の言葉では、「金利が急騰し、10%を超えるような事態」のことだが、暦の観点からは、「4月からの10か月間」が、たいへん気に掛かる状況である。具体的には、今後、この点を頭に入れながら、「2017年の相場」に対応する必要性のことだが、基本的には、「6月から8月頃まで、株式に強気の態度が望ましい状況」とも想定されるようである。