本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2017.4.4

日銀の国債買い入れ計画

「3月31日」に発表された「日銀の国債買い入れ計画」によると、「4月は、中長期債を中心に大幅な減額になる」とのことである。また、「4月の方針」が、今後も継続すると、「年間の買い入れ金額が、80兆円から60兆円台にまで急減する可能性」も危惧されているが、実際には、いわゆる「テーパリング(国債買い入れ金額の減額)」が、日本で始まった状況とも言えるようである。つまり、「国債」を買い入れるためには、「当座預金」や「国家からの借入金」などで、資金手当てをする必要性が存在するが、現在では、この方法が難しくなってきたものと推測されるのである。

その結果として、現在では、長期金利のみならず、中期や短期の金利までもが上昇を始めたようだが、この点には、大きな注意が必要だと考えている。つまり、今までは、「中央銀行が国債を大量に買い付けたことなどにより、史上初めてのマイナス金利が、世界的に発生した」という状況だったが、今後は、「国債の買い付け」に関して、「梯子を外されたような状態」になるものと思われるからである。

別の言葉では、「国債の買い手」が不在になるだけではなく、「中央銀行」そのものが、「国債の売り手」になる可能性が存在するとともに、「膨張を続ける国家の債務」に関して、「誰が国債を買い、国家に資金供給をするのか?」という大問題が発生することも予想されるのである。つまり、「1981年」から始まった「世界的な金利低下」が、「2016年」に大転換を迎え、現在では、「更なる上昇期」を迎えようとしているわけだが、この時の注目点は、やはり、「どれほどのスピードで、今後、金利が上昇するのか?」ということだと考えている。

つまり、これから想定される「金利上昇」については、決して、景気が良くなったから上昇したというような性質のものではなく、反対に、「国家への信頼感」が喪失することによる、きわめて危険な金利の上昇とも想定されるのである。別の言葉では、「1991年のソ連」のように、「国債の買い手がいなくなり、結果として、紙幣の大増刷に繋がった状況」が、今後、世界的に発生するものと考えているが、実は、このことが、以前から指摘してきた「インフレの大津波」を意味するのである。

そのために、「今後、日銀が、どのような発表をするのか?」に関して、今まで以上の注意を払う必要性が存在するようだが、私自身としては、ようやく、「最後の大混乱」が始まりを告げた状況のようにも感じている次第である。