本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.4.25

西ローマ帝国のデナリウス銀貨

最近の海外レポートで、最も興味深かったのが、「西ローマ帝国のデナリウス銀貨」に関する考察だった。具体的には、「西暦60年前後からの約200年間に、銀の含有量が、約90%から、ほとんどゼロの状態にまで落ち込んだ」という内容だったが、私自身としては、「二重の意味」で感慨深く読ませていただいたようにも感じている。つまり、一つは、「1987年のブラックマンデー」の時に、「私自身が、大きなショックを受け、その後、徹底的に過去の歴史を検証した想い出」が蘇ってきたからである。

具体的には、「世の中は、いったい、どのような仕組みで動いているのか?」という問題を、真剣に悩み、さまざまな資料を読み漁った記憶のことだが、この時、最後に行き着いたのが、「西ローマ帝国の通貨制度や経済状況」だったのである。そして、「1996年」に、「過去2000年間の歴史」を検証し終えた時、私自身としては、納得のいく答えが得られたようにも感じたのだが、実際には、それまでに「約10年」という時間が必要だったのである。

また、今回は、「100年に一度の金融混乱」といわれた「2008年のリーマンショック」から、「約10年」が経とうとしているために、海外でも、「私と同様の疑問を抱き、同じような検証がなされているのではないか?」とも考えている。つまり、「西ローマ帝国」と「現在」との間に、数多くの共通点が存在する状況のことだが、特に注目すべき点は、二つ目の感慨である「通貨の質と量との関係性」とも言えるようである。

具体的には、「経済成長」と「貨幣の質」が、反比例している関係性のことだが、前述のように、「銀の含有量が急減した状況」が意味することは、「その裏側で、急速な経済成長が発生していた事実」を物語っているのである。また、この点については、「文明法則史学」が教える「歴史の1600年サイクル」のとおりに、「世の中が動いている事実」を証明しているものと考えている。

そして、私自身としては、以前に、「通貨の質が最悪だったのが、西暦400年前後だった」、そのために、「この前後に、マネーの残高がピークを付けた」という理解ができたのだが、この点を、現在と照らし合わせて考えると、実に、興味深い事実が浮かび上がって来るようだ。具体的には、「パンとサーカス」に熱中した人々が、「財政赤字」と「インフレ」に悩まされている状況のことであり、このことは、「歴史は繰り返す」という言葉のとおりに、今後の展開を、はっきり示唆しているようにも感じられるのである。