本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.7.5

藤井四段の連勝記録

6月26日に、将棋の藤井四段が歴代最多の29連勝を記録し、その後、惜しくも30連勝は阻止されたが、過去半年間の将棋界は、久しぶりの盛り上がりを見せたようにも感じている。そして、この点に関しては、色々と「不思議な思い」を抱かされたが、一つは、「30年サイクル」の存在であり、実際には、銀座の土地価格が、バブル期越えの水準となっているように、30年前と同様のバブル状態が発生している可能性である。

また、二つ目は、「AI(人工知能)の発展」であり、実際には、「将棋」のみならず、より複雑な「碁」までもが、「AIの完全勝利」という状況となっており、このことは、「碁」や「将棋」のゲームそのものが、将来的に消滅する可能性を示唆しているようである。そのために、「なぜ、今、将棋に人気が集まっているのか?」が、たいへん気に掛かるのだが、この点については、「人間の可能性への挑戦」も考えられるようである。

具体的には、「1980年代」に発生した変化として、「人間の肉体」に対する「可能性の挑戦」が指摘できるようだが、このことは、それまでの「ロケット」や「新幹線」などのような「機械を使った速度や距離などへの挑戦」から「人間の肉体には、どれほどの可能性が存在するのか?」へ変化した状況とも思われるのである。そして、現時点での「私の仮説」としては、今後、この動きが、「肉体」から「頭脳」、そして、「精神」へ変化する可能性であり、この点については、「文明法則史学」が参考になるものと考えている。

つまり、現在の世の中は、1600年前の「西ローマ時代」と、よく似た状況とも想定しているが、この時には、「古代オリンピック」が、いつしか消滅し、その後、「西暦500年前後」の「東洋」では、「仏教の経典」を学ぶことが、最先端の学問となっていたのである。そのために、私自身も、以前に、この事実に驚かされた記憶があるが、現在では、反対に、歴史の流れからは、当然の状況だったものと考えているのである。

具体的には、世の中を動かす原動力として、「心指し(志)」という、「人々の興味と関心が、どの方向性に向かっているのか?」という事実だと考えている。そして、現在では、「目に見える物質」から「目に見えない精神」への大転換過程であり、また、徐々に、「自分だけの欲望」から「他人への思い遣り」が芽生え始めている段階とも想定されるのである。ただし、今後は、1600年前とは違い、遥かに進歩した科学技術、特に、「AI(人工知能)」が、急速に、色々な分野に影響を及ぼし始めるものと考えており、今回の「将棋の連勝記録」は、その先駆けのようにも感じられるのである。