本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.8.25

72回目の終戦記念日

「8月15日」は、ご存知のとおりに、「72回目の終戦記念日」だったが、残念なことに、現在でも、依然として、「戦後の清算」ができていない状況とも言えるようである。あるいは、「なぜ、戦争に負けたのか?」に関する分析も、十分に行われていない状況のようにも思われるが、今回は、この点に関して、以前に「中国大使」を勤められた「丹羽宇一郎氏」のコメントを参考にしながら、いろいろな問題点を考えてみたいと思う。

具体的には、「丹羽氏」が「1944年6月のマリアナ沖海戦で、戦争が、実質上、終了していたものの、当時の政府中枢は、終戦を決断することなく長引かせ、多大な犠牲者を出した」という意見を述べられているのである。つまり、「1941年12月」から「1945年8月」までの「戦争期間」において、「最後の3分の1」が「意味のない戦いだった可能性」を指摘されているのである。そして、この点を、現在の「金融大戦争」と比較すると、「2008年のリーマンショック」以降の「約10年間」、あるいは、「2013年」から始まった「日銀による異次元の金融緩和」が同様の状況とも想定されるのである。

また、「敗戦の要因」としては、「軍部の暴走」や「大本営発表」、そして、「国民の犠牲を無視した無責任体制」などが指摘できるようだが、この点については、現在、「安倍政権の支持率低下要因」といわれる「三つの誤り」と重なって見えるようである。具体的には、第一が「権力の私物化」、第二が「都合の悪いことをウソで切り抜ける隠蔽体質」、そして、第三が「誰も自分の責任と思わない空洞行政」のことだが、この点について、丹羽氏は、「日本人は、敗者の歴史を学ぶ勇気を持て」とも主張されているのである。

つまり、「日本は無責任文化から決別し、現代史を学ぶべきである。それが敗者の歴史に重要な区切りをつける最後の年になりつつある今年の8月15日に、私が強く言いたいことだ」という結論となっているのである。別の言葉では、「為政者の暴走」や「権力の私物化」などが、「国民の犠牲」を引き起こす「最も大きな要因の一つ」であり、現在は、まさに、「72年前」と似たような状況とも感じられるのである。

ただし、今回は、「人的被害」ではなく、「国民の資産に関する被害」が想定されるようだが、実際には、以前から申し上げているとおりに、本当の「インフレ(通貨価値の下落)」のことである。そして、現在の「株価」や「商品価格」の上昇については、この点に関する「初期段階」にすぎず、今後は、「国債価格の暴落」とともに、信じられないほどの上昇相場が始まるものと想定している。