本間宗究(本間裕)のコラム
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2017.9.4
ジャクソンホール会議におけるイエレン議長演説
「8月25日」に「ジャクソンホール会議」で「イエレンFRB議長の演説」が行われたが、内容としては、大きな「違和感」を覚えざるを得ないものであり、実際のところ、「イエレン議長の真意は、別にあるのではないか?」とも感じられた次第である。具体的には、「10年前の世界的な金融大混乱(GFC)」については、「私の想定以上の表現を使い、きわめて厳しい見方をしていた」という状況でありながら、一方で、「その後の展開」については、「さまざまな法律改正などにより、金融システムが安定してきた」とも述べられているからである。
そのために、この点に注意しながら、演説内容を吟味すると、何らかの「意図」が存在するようにも感じられたが、実際には、「金融システム」の内容に関して、「民間の金融部門」と「国家の財政問題」とを区別し始めた可能性とも言えるようである。つまり、「民間の金融部門」については、いろいろな「規制」や「法律改正」などにより、「大きすぎて潰せない(Too Big To Fail)」というリスクが減少した点だけを強調されているのである。しかし、一方で、「国家の債務問題」や「出口戦略」などについては、ほとんど言及されていなかったが、この点については、「イエレン議長の任期」と、深く関連している可能性も存在するようだ。
つまり、「2018年1月に、再任されるか否か?」という点に関して、実際には、「今季限りで退任を望んでいる可能性」が存在するようにも感じられた次第である。別の言葉では、今回の演説で主張したかったことは、「自分の任期中は、できる限りの金融政策を実施した」、その結果として、「個別の金融機関については、たいへん健全な状態となった」という点だったようにも思われるのである。より具体的には、「自分の任期終了後は、どのようなことが起きても、自分には責任がない」という点を強調したかったものと推測されるのである。
このように、「FRBの次期総裁に、誰が任命されるのか?」が、今後の注目点だと考えているが、実際のところは、「年内にも、国債価格の暴落により、国家財政の破たん問題が再燃する可能性」が存在するようにも思われるのである。その結果として、今後は、「世界全体」における「通貨制度の問題」も考慮すべき段階に差し掛かったものと思われるが、「イエレン議長の真意」としては、「ハイパーインフレで、全ての借金を棒引きにする政策」が実施されることにより、「自分の責任追及」にまでは及ばない状況を確信した状況のようにも感じられた次第である。