本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.9.4

工業用メタルの価格上昇

現在、「銅」や「亜鉛」などの「工業用メタル」の価格が急上昇している。具体的には、「銅」の場合、「過去2か月間で約2割」、「過去1年間で約5割」もの価格上昇となっているが、この理由としては、「世界的な需要の増加」と「資源枯渇による供給の減少」が考えられているようだ。しかし、私自身としては、「大膨張したマネーの破裂現象」を想定しており、このことは、「今まで割安に放置されていたものの、今後、値上がりが見込まれる商品」への「資金移動」が始まった可能性である。

つまり、現在では、典型的な「ギャロッピング・インフレ」が発生している状況とも言えるようだが、今後の注目点は、「いつ、この動きが、貴金属に波及するのか?」でもあるようだ。具体的には、現在の「国債」と「金」とを巡る「金融大戦争」において、「国債を守る陣営」である「日米欧の国々」は、今まで、「国債を買い、金を売り叩いてきた」とも言われている。しかし、一方で、「金を信用する陣営」である「中国」や「ロシア」などは、「上海協力機構(SCO)の強化」や「金本位制の導入」などを目論んでいる状況とも報道され始めているのである。

また、この時に、先進国で重要な役割を果たしてきたのが、「ゴールドマンサックス」などの「メガバンク」であり、実際には、「デリバティブ」などを駆使して、「金や銀の価格を抑え込むことに、大きな役割を果たしてきた」とも推測されている。つまり、「日米欧の国々」にとって、「メガバンク」の存在は、必要不可欠なものだったようだが、現在、海外で噂されていることは、「ゴールドマンサックスなどのメガバンクが、中国と結びついた可能性」である。

つまり、今までと反対に、「金や銀の価格を押し上げる動き」を始める可能性のことだが、かりに、この噂が正しいとすると、今後は、「貴金属価格の急騰」という事態を想定すべき段階に入ったようである。別の言葉では、「国債を守る陣営」が「インフレ政策により、国債残高を棒引きにする方法」を選択し始めた可能性だが、このことは、「ユダヤ人」が、「米国」よりも「中国」を支持し始めた状況とも言えるようである。

そのために、今後の「貴金属価格」には、大きな注意が必要だと考えているが、最も注目すべき点は、やはり、「この時に、現代通貨が、どのような運命を迎えるのか?」、より具体的には、「1971年のニクソンショック」から始まった「信用本位制」が、「どのようにして終焉の時を迎えるのか?」ということだと考えている。